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『ザ・シークレット・サービス』国家を信ずる者と信じざる者との闘い ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『ザ・シークレット・サービス』国家を信ずる者と信じざる者との闘い ※注!ネタバレ含みます。

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大統領を守れなかった男、クリント・ヒル



 プロジェクトは、完全に袋小路に入り込んでしまった。アップルは大手のみならず独立系の映画会社に売り込みをかけるも、芳しい返事は得られず。アップルはフリードマンの原案を諦め、ジェフ・マグワイアによる新しいシナリオを開発。このときに初めて、ジョン・F・ケネディを守れなかった男=フランク・ホリガンという新しい主人公が誕生する。


 このキャラクターが、ケネディ大統領暗殺の現場に居合わせた実在のエージェント、クリント・ヒルにインスパイアされていることは明らかだろう。運命の日となった、1963年11月22日のダラス。ケネディは妻のジャクリーンと共にリムジンのオープンカーに乗車し、ヒルはそのすぐ後方にいた。二発目の銃弾で危険を察知した彼は慌ててリムジンに向かうが、時遅く三発目の銃弾がケネディの頭を貫通。パニックに陥ったジャクリーンを車内に押し戻し、彼女を覆うように自ら盾となる。だが全ては手遅れだった。


 後年クリント・ヒルは、テレビ番組で「大統領の死に責任を感じている」と発言。悲劇の英雄となった彼が、もしもう一度大統領を救うチャンスを得たらどんな行動をするのだろうか?ジェフ・マグワイアのそんな妄想によって、『ザ・シークレット・サービス』はよりドラマティックな骨格を有するシナリオに生まれ変わった。


 だがそれでも、すんなりと映画化とはならなかった。ロバート・レッドフォード、ショーン・コネリー、ウォーレン・ベイティなど錚々たる大物にアプローチをかけるも、企画は一向に進まず。映画制作会社キャッスル・ロック・エンターテイメントが、マグワイアの脚本を100万ドルで獲得したことでようやく映画化が前進したときには、すでに10年という歳月が流れていた。ジェフ・アップルはこんな風に述懐している。


 「10年間の行ったり来たりが報われた。 結果をとても誇りに思っているし、これが世の中の多くの人にインスピレーションを与えることができればいい、と思っている」ロサンゼルス・タイムズの記事 より抜粋 )


 ちなみにこの作品では、本物のシークレット・サービスがコンサルタントを務めている。彼らが映画製作に全面協力したのは、これが初めてのこと。かくしてアップル少年時代に描いたシークレット・サービス映画化の夢は、シークレット・サービスの支援によって具現化したのだ。




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