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『U・ボート』映画公開後に作られたドラマ版を鑑賞することで気づく戦争映画の真価とは?

(c)Photofest / Getty Images

『U・ボート』映画公開後に作られたドラマ版を鑑賞することで気づく戦争映画の真価とは?

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『U・ボート』あらすじ

1941年、第二次世界大戦下のフランス大西洋。ラ・ロシェル港からナチス・ドイツの潜水艦、Uボート「U96」が出港をした。任務は連合国護送船団の掃討。報道班のヴェルナーは取材の為、U96に乗り込むも「潜水艦」という過酷な環境の現実を目の当たりにする。孤独、密室、疲弊、そして死。追い討ちをかけるように届く本国=ナチス・ドイツからの過酷な命令。それはイギリス軍が待ち構えるジブラルタル海峡を突破し、イタリアへと向かえと言うものだった....。


Index


潜水艦映画が傑作となる「限定条件」



 「潜水艦映画に駄作なし」。映画ファンが好んで使う常套句だが、潜水艦という兵器の特殊性に、傑作を多く生んできた秘密がある。

 

 数十人の男たちが密集する逃げ場のない潜水艦という密室は、まさに社会を凝縮した試験管のようであり、濃密な人間ドラマが立ち上がりやすい。さらに潜水艦は、水上艦艇や戦闘機のように目に頼ることができない。音によって敵の位置を探り、見えない敵と戦うという縛りもサスペンスを醸成するのに利点が大きい。


 そんな潜水艦映画の「限定条件」をフルに生かした傑作こそ、81年の西ドイツ映画『U・ボート』だ。


 舞台は第二次世界大戦開戦から2年が経過した1941年末。ドイツの潜水艦Uボートの2か月に及ぶ航海とそこで繰り広げる死闘を描く。


『U・ボート』予告


 潜水艦の代名詞とも言えるUボートだが、その戦法は一言で表すなら「ヒット&アウェイ」。石油や鉄などの戦略物資をイギリスに運ぶ輸送船を見つけると、潜水でそっと近づき魚雷で攻撃。すると、船団を護衛する敵の駆逐艦がすぐさま爆雷攻撃をしてくるため、深く潜航し、何時間も物音ひとつ立てず息を殺してやりすごすのだ。ちょっとカッコ悪い気もするが、それは当時の潜水艦の能力を考えれば仕方のないことだ。


 大戦前期のUボートは駆逐艦よりも圧倒的に速力が遅く、さらに潜水してしまうと水上の半分もスピードが出なかった。だから武装していない商船などを攻撃し、それを守る軍艦が出てくるとひたすらやり過ごす、という戦法をとるしかなかった。


 しかも、潜水中はディーゼルエンジンが使えず、バッテリー航行のみ。だから定期的に浮上してエンジンを回し充電しなければならない。そんな時には爆撃機の格好の標的にされてしまう。


 「第二次大戦中の大西洋はUボートが席巻した」といった表現をたまに見かけるが、一隻ごとの戦闘に目を向ければ、まことに綱渡りとしか言いようのない、危うい任務の連続だったはずである。


 そんな潜水艦の中で、男たちはどんな風に戦い生き延びたのか。それこそが映画『U・ボート』のテーマだ。




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