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『ファーザー』アンソニー・ホプキンスを2度目のオスカーに導いた、英仏の非凡な劇作家たち
英国演劇界の大ベテラン、ハンプトンが発見した新しい才能
それまで英国では知られていなかったゼレールの作品を演劇界に紹介したのもハンプトンだった。語学が堪能で、モリエール作品などフランス語の翻訳の仕事も手がけてきた彼がゼレールの戯曲“Le Père”を発見したのは、2014年のこと。パリに滞在中にこの舞台の評判を聞きつけ、さっそく公演を見て心を動かされた。
終演後はゼレールに会って、自分が英訳して英国で紹介したい、と伝えたという。その後、彼の作品5本を英国でも紹介。パリでの出会いが、今回の映画化の最初の発火点となった。映画用に脚色する時は、ゼレールがフランス語で書き、次にハンプトンが英語にしていく。この作業を繰り返した後、最終的にはふたりで会って、最終稿の英語の脚本を書き上げていったという。
ハンプトンは演劇界だけではなく、映画界でもすでに実績があった。『危険な関係』(88、スティーヴン・フリアーズ監督)の脚色でもアカデミー脚色賞を手にしている。『危険な関係』はフランスの文学者、ラクロの小説をハンプトンが戯曲化したもので、英国ではアラン・リックマン主演の舞台が評判を呼び、フリアーズの映画版が実現(こちらはジョン・マルコヴィッチ、グレン・クローズ主演)。ハンプトンが自分の戯曲の脚色も手がけた。
文学的な作品の映画化に強いハンプトンは、英国の人気作家、イアン・マキューアン原作の『つぐない』(07)の脚色でもオスカー候補となっている。
『ファーザー』クリストファー・ハンプトンとアンソニー・ホプキンス © NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020