Bullitt ©1968, Package Design & Supplementary Material Compilation ©2008 Warner Bros.Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All Rights Reserved.
『ブリット』カーチェイスの新たな地平を築いた、’60年代を代表する刑事ドラマ
“元レーシング・ドライバー”の異色監督ピーター・イェーツ
ブリットの恋人キャシー役にはジャクリーン・ビセット、上司のデルゲッティ部長刑事役にはドン・ゴードン。そして高圧的な政治家ウォルター・チャルマーズ役には、『0011ナポレオン・ソロ』(TVシリーズ:64-68)のソロ役で知られるロバート・ヴォーンがキャスティングされた。ヴォーンは受け取った脚本が気に入らず、当初は出演を拒んでいたのだが、高額のギャラを条件に渋々出演。しかし後年には、「『ブリット』での演技が自分のベスト」と公言するくらいのお気に入りに。同時にヴォーンは、シナリオをきちんと理解していなかったことも告白しているんだが、いや、そんなに複雑なストーリーかコレ!?
監督を務めたのは、イギリス人のピーター・イェーツ。元々はプロのレーシング・ドライバーとして鳴らしてた変わり種だ。ロンドンの王立演劇学校で学んだあと、ジャック・カーディフやトニー・リチャードソン監督のもとで経験を積み、『太陽と遊ぼう!』(63)で監督デビュー。続く第2作『大列車強盗団』(67)では、元レーシング・ドライバーという出自を存分に発揮して、リアルなカーチェイスを演出してみせた。その出来に感銘を受けたスティーブ・マックイーンが、直々にイェーツを抜擢したのである。
『ブリット』Bullitt ©1968, Package Design & Supplementary Material Compilation ©2008 Warner Bros.Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All Rights Reserved.
ビッグ・プロジェクトを引き受ける決心をしたピーター・イェーツが最初にしたことは、新しいアリフレックス・カメラを用意してくれるように、ワーナー・ブラザースを説得することだった。刑事ドラマとしてのリアリティを確保するためには、セットではなくロケーション撮影が必須。そのためには、ロケ撮影の柔軟性を高めることができる軽量のアリフレックス・カメラが必要、と考えたのだ。
結果的に『ブリット』は、オールロケの作品となった。そして新型アリフレックス・カメラを用いることで、臨場感溢れるカーチェイスが実現する。