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『クルエラ』がパンク映画になり得た、監督・脚本・主演・スタジオの“共謀関係”

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『クルエラ』がパンク映画になり得た、監督・脚本・主演・スタジオの“共謀関係”

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『クルエラ』あらすじ

舞台は英国。ファッションデザイナーに憧れる少女エステラは、天才的な美的センスを持ちながらも喧嘩っ早いところがあり、母親から「“クルエラ(残酷な、酷いの意を持つ「cruel」とかけたあだ名)”は封印して」とたしなめられていた。そんなある日、エステラは奔放が過ぎて退学に。母と共にロンドンで心機一転やり直そうとするが、母はとあるセレブのパーティ会場で起こった事故で命を落としてしまう。一夜にしてストリートチルドレンになってしまったエステラは、孤児のホーレスとジャスパーに出会い、トリオを結成。盗みを働いて生計を立てる。そうして時は流れ、1970年代。大人になったエステラ(エマ・ストーン)は、ホーレス(ポール・ウォルター・ハウザー)とジャスパー(ジョエル・フライ)の計らいで憧れの百貨店で働き始めるも、雑用ばかりの日々を送っていた。しかし、カリスマデザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)に見いだされ、ようやくデザイナーとしての一歩を歩み始める。しかし、傍若無人なバロネスとの関係が悪化し、封印していた自分=“クルエラ”が再び覚醒していく――。


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「クルエラ=封印していた自分」を解放する物語



 『101匹わんちゃん』(61)のヴィラン(悪役)であるクルエラを主人公に据えた実写映画『クルエラ』(21)が、5月27日に劇場公開、翌28日にディズニープラスで配信(※月額利用料金とは別に、課金が必要)が始まった。新型コロナウイルスが蔓延する以前であれば劇場公開一択であったろうが、今後はこの方式がウォルト・ディズニー・スタジオの基本路線になっていきそうだ(『ブラック・ウィドウ』(21)も同じ形)。


 どのようなプラットフォームで作品を楽しむかは個々人の状況や環境、趣味嗜好に依っていくものだろうが、とはいえ多くが「劇場公開を想定した」作品であり、映像のスケール感や音響の細部に至るまで、民生機では表現しきれないと考えると、ポテンシャルを十二分に発揮できるのはやはり劇場観賞。特に『クルエラ』においてはスタイリッシュな映像と音楽が全編で畳みかける構造になっており、スクリーン映えする作品であるのは確かだ。


 もちろん、配信の場合は気軽さに加えて「何度も楽しめる」部分に強みがあり、コレクター心をくすぐるものである。どちらを選ぶか、または両方の形態で楽しむか、それを鑑賞者が「選択する」時代になってきたのかもしれない。なお本レビューにおいては、劇場観賞したうえで執筆しており、そうした前提で読み進めていただければ幸いだ。


『クルエラ』予告


 まずは、本作のあらすじから。舞台は英国。ファッションデザイナーに憧れる少女エステラは、天才的な美的センスを持ちながらも喧嘩っ早いところがあり、母親から「“クルエラ(残酷な、酷いの意を持つ「cruel」とかけたあだ名)”は封印して」とたしなめられていた。そんなある日、エステラは奔放が過ぎて退学に。母と共にロンドンで心機一転やり直そうとするが、母はとあるセレブのパーティ会場で起こった事故で命を落としてしまう。一夜にしてストリートチルドレンになってしまったエステラは、孤児のホーレスとジャスパーに出会い、トリオを結成。盗みを働いて生計を立てる。


 そうして時は流れ、1970年代。大人になったエステラ(エマ・ストーン)は、ホーレス(ポール・ウォルター・ハウザー)とジャスパー(ジョエル・フライ)の計らいで憧れの百貨店で働き始めるも、雑用ばかりの日々を送っていた。しかし、カリスマデザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)に見いだされ、ようやくデザイナーとしての一歩を歩み始める。しかし、傍若無人なバロネスとの関係が悪化し、封印していた自分=“クルエラ”が再び覚醒していく――。


 『101匹わんちゃん』の前日譚であり、クルエラの誕生秘話を描く本作で興味深いのは、エステラ/クルエラという「多重人格もの」の変化球として描いていることだ。『101匹わんちゃん』を知っている者にとってはなかなか驚きのアプローチであるが、細かく見ていくと「ディズニーの実写化作品」として実に真っ当な方法論であることが納得できる。そのため今回は、本作の中身にも深くかかわってくるディズニーの戦略やフォーマットから、『クルエラ』について考えてゆきたい。




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