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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』虐げられた者たちに“呼吸”を与える、逞しき「100%自己中映画」

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』虐げられた者たちに“呼吸”を与える、逞しき「100%自己中映画」


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「女性の自立」を組み込んだ社会的テーマ



 一見すれば、神をも恐れぬ不敵な映画。娯楽作というには、あまりに傲慢で自己中心的。しかし、その奥に漂うのは、「女性の自立」を訴える社会的なエッセンス。隷属からの脱却。自分らしく罪を犯す。実にDCらしい、アウトローな挑戦作だ。


 DCコミックの悪役がチームを組んだ『スーサイド・スクワッド』(16)の中で、間違いなく「大成功」と呼べるのは、マーゴット・ロビーが演じたハーレイ・クインだろう。奇抜なヘアカラーにメイク、ポップな服装。狂気すら感じるハイテンションなキャラクターで、「ジョーカーの恋人」という最強属性まで備えた彼女は、爆発的な人気を呼び起こした。



 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(20)は、そんなハーレイの単独作だ。マーゴットがプロデューサーも兼任し、『スーサイド・スクワッド』の“その後”の物語が描かれる。世界興行収入は2億ドル間近で、2020年のランキング4位(3月17日現在)。やや社会的なテーマをはらんでいるにせよ、批評家・観客共に評価も上々だ。


 本作のあらすじを簡単に説明すると、まずトピックとなるのが「ハーレイ・クインがジョーカーに捨てられた」事件から始まる物語であるということ。犯罪王であるジョーカー(ジャレッド・レト)の庇護がなくなったことで、ハーレイはゴッサム・シティ中のならず者から命を狙われることになる。そして、スリの少女や壮絶な宿命を背負った暗殺者、囚われの歌姫、男社会で不遇を極める刑事といった女性たちと協力していく――というストーリーだ。ジョーカーの威を借る状態だったハーレイが、1人のヴィラン(敵役)として地位を確立していく過程が、大きな見どころといえよう。


 上記からわかるとおり、本作には「女性の自立」がかなり意識的に組み込まれている。マーゴットが「複数の女性キャラクターを入れたい」と打診したこともそうだし、ストーリーの流れ自体が完全に、かつわかりやすくその主張を打ち出しているのだ。



 今回のジョーカーはハーレイを無惨に捨てた悪漢で、1人の女性を洗脳して人生を狂わせた罪人のニュアンスが強い。『スーサイド・スクワッド』ではある種のラブシーンとして描かれていた「絆」が、本作では「隷属」「暴力」へと姿を変えているのだ。これは、かなり強烈な意趣返しといえるだろう(現に、ハーレイは劇中でジョーカーとの関係が始まった工場を爆破する)。


 ハーレイ・クインの「愛する人のために身も心も捧げる」要素をポジティブにとらえたのが『スーサイド・スクワッド』なら、その奥にある恐ろしさ・危うさを抉り出すのが『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』といえよう。ポップなテンションで彩られてはいるが、物語の裏に流れる感情はなかなかにシリアスだ。



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