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『サスペリア』(77)光の三原色に彩られた、血みどろの白雪姫

(C) VIDEA S.P.A.

『サスペリア』(77)光の三原色に彩られた、血みどろの白雪姫

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主人公スージー役に必要不可欠だった“大きな瞳”



 主人公のスージー役も、当初はダリア・ニコロディが演じる予定だった。しかしアメリカへの売り込みを考慮して、アメリカ人女優がいいだろうということになり、ジェシカ・ハーパーが起用されることになる。ニコロディは、冒頭の空港のシーンでチラッとカメオ出演。実は魔女ヘレナ・マルコスのガラガラ声も担当している。


 ダリオ・アルジェントは『ファントム・オブ・パラダイス』(74)におけるジェシカ・ハーパーの演技を見て、その“大きな瞳”に惹かれたという。もともと『サスペリア』のシナリオは、10歳から12歳くらいの少女たちの物語として書かれていた。しかし脚本を読んだ映画の出資者たちから、「年端もいかない女の子が暴力に巻き込まれる映画なんて、絶対ダメ!」と真っ向から反対されてしまう(真っ当な意見だろう)。そこでアルジェント&ニコロディは、バレエ学校の生徒たちの年齢を20歳くらいに引き上げることで、事態の沈静化をはかる。

 

『サスペリア』(C) VIDEA S.P.A.


 だが、年齢が上がったにも関わらず脚本は書き直されなかった。生徒たちのセリフが年齢の割に幼稚に聞こえるのは、その名残ゆえ。ドアノブの高さをわざと女優の頭の高さと同じくらいにして、背の低い子供がドアを開けるかのような演出まで行った。ダリオ・アルジェントにとって、『サスペリア』はあどけない少女たちが血の惨劇に巻き込まれる物語でなければならなかったのだろう。実際アルジェントは、スージーを8歳くらいの女の子と想定して演出したという。ゆえに、まるで少女のように大きな瞳が主人公には必要不可欠だったのだ。汚れのない、無垢な、純粋な瞳が。


 少女が災厄に見舞われるというモチーフは、後年『フェノミナ』(85)で踏襲されることになる。主役を演じたジェニファー・コネリーは、当時13歳だった。





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