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『17歳の瞳に映る世界』ドキュメンタリータッチが浮き彫りにするアメリカの現実

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『17歳の瞳に映る世界』ドキュメンタリータッチが浮き彫りにするアメリカの現実

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『17歳の瞳に映る世界』あらすじ

ペンシルベニア州に住むオータムは、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこであり唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう……。



 第70回ベルリン国際映画祭で、審査員グランプリにあたる銀熊賞を受賞したほか、数多くの賞を獲得したロードムービー『17歳の瞳に映る世界』(20)は、その高い評価に相応しく、優れた表現で深刻な社会問題に切り込んだ、現代的な作品だ。


 主人公は、ペンシルベニア州の高校に通う17歳のオータム。彼女はある日、自身の体に異変があることに気づく。不安な気持ちで診察を受けると、果たして、望まない妊娠をしていることを知らされることになる。


 高圧的な義父らと同じ家に住んでいるオータムは、家族に知られることなく中絶手術を受けることを望むが、州の法律では未成年者の堕胎には保護者の同意が必要なのだという。厳しい状況に追い込まれた彼女に残されたのは、隣接するニューヨーク州で手術を受けるという選択肢。オータムは、窮状を唯一話せる存在である従姉妹のスカイラーの助けを得て、二人きりで長距離バスの旅に出る。


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17歳の少女の視点で描かれる現実の世界



 本作に強い印象を与えるのは、まずその特徴的な撮影手法だ。本作の監督エリザ・ヒットマンと、彼女の前作『ブルックリンの片隅で』(17)にも参加している、ベテランの撮影者エレーヌ・ルヴァール(『Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)『幸福なラザロ』(18))は、ここでドキュメンタリー風に、不安に苛まれながらも行動を続けていくオータムの姿をとらえていく。


『17歳の瞳に映る世界』予告 (c)2020 FRIENDS IN TROUBLE LLC / FOCUS FEATURES LLC


 心に重荷を背負いながら、医師と会話をする様子や、バスの席で外を眺める姿など、17歳の少女のすぐそばにカメラは寄り添い、彼女の生きる世界が、ドキュメンタリータッチで切り取られている。これによって観客は、彼女の胸を絶えず締め付ける不安や切迫感を、自分も体験しているかのように感じられるのだ。


 その臨場感は、ロケーションからも伝わってくる。到着したバスの車窓から垣間見えるニューヨークの雑踏、バスターミナル周辺などの殺伐とした風景は、これが気楽な旅行ではなく、オータムが勇気を振り絞って、痛みをともないながら現実と対峙せざるを得ない旅だということを物語っている。




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