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『イン・ザ・ハイツ』ミュージカル映画史が重なりつつ、未来も志向する新たな傑作

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『イン・ザ・ハイツ』ミュージカル映画史が重なりつつ、未来も志向する新たな傑作

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『イン・ザ・ハイツ』あらすじ

ニューヨーク・“ワシントン・ハイツ”は、いつも音楽が流れる、実在する移民の街。その街で育ったウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニーはつまずきながらも自分の夢に踏み出そうとしていた。ある時、街の住人たちに住む場所を追われる危機が訪れる。これまでも様々な困難に見舞われてきた彼らは今回も立ち上がるが―。突如起こった大停電の夜、街の住人達そしてウスナビたちの運命が大きく動き出す。


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21世紀ミュージカル界の寵児の原点



 21世紀に入ってからのミュージカル界で、最もインパクトのある活躍をみせている才能のひとりといえば、この人、リン=マニュエル・ミランダだろう。


 2015年にブロードウェイで幕を開けた『ハミルトン』は、チケットが取れないほどの大人気を博し、翌年のトニー賞の全13部門にノミネートされ、11部門で受賞。同作で脚本・作詞・作曲、そして初演で、アメリカ合衆国建国に貢献した主人公、アレクサンダー・ハミルトンを演じたのが、リン=マニュエル・ミランダだ。舞台での活躍にとどまらず、ディズニーのミュージカルアニメ『モアナと伝説の海』(16)の作曲や歌、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)でのマズ・カナタの酒場のシーンの作曲と歌、さらに『メリー・ポピンズ リターンズ』(18)では点灯夫のジャック役でゴールデングローブ賞 映画部門主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネートなど、まさに“ミュージカル界の寵児”として勢いが止まらない状態だ。


『イン・ザ・ハイツ』予告


 そのミランダは、『ハミルトン』の前に、2012年、ブロードウェイで『チアーズ!』のミュージカル版を作詞・作曲・共同プロデュースしている。さらに遡って、彼の才能が認められた作品が、2004年にオフ・ブロードウェイで上演が始まり、2008年3月にブロードウェイに進出した『イン・ザ・ハイツ』である。作詞・作曲を手がけたミランダはトニー賞でオリジナル楽曲賞を受賞。主人公のウスナビを演じ、同賞のミュージカル主演男優賞にノミネートされている。


 『イン・ザ・ハイツ』は、すでに2008年11月の時点で、ユニバーサルが映画化を発表。『ハイスクール・ミュージカル』(06)や『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(09)のケニー・オルテガという、適任の監督で2011年に撮影開始予定だったが、企画がストップしてしまった。しかしリン=マニュエル・ミランダによると、映画化の話は消えなかったようで、2018年、ワーナー・ブラザースで製作が正式決定。ミランダは『ハミルトン』でさらなる名声を得ていたので、むしろこのタイミングは完璧。満を持しての映画版が完成したわけである。


 ミランダは映画版では、街の「かき氷屋」役として特別出演的に顔を出している。




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