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  4. あくまでストーリーを具現化する手段『セブン』の徹底されたビジュアルの理由 ※注!ネタバレ含みます。
あくまでストーリーを具現化する手段『セブン』の徹底されたビジュアルの理由 ※注!ネタバレ含みます。

あくまでストーリーを具現化する手段『セブン』の徹底されたビジュアルの理由 ※注!ネタバレ含みます。

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ストーリーにおけるビジュアルの役割



 デヴィッド・フィンチャーは「素晴らしい物語を語る責任は、物語の語り手にある。使う技術には一切関係無い。」と、あくまでも中心は「物語/ストーリー」である旨の発言をしている。彼の映画における徹底的にこだわり抜かれたビジュアルや技術も、あくまで物語を語るための手法に過ぎないということだろう。


 フィンチャーが『セブン』で意図したビジュアルは、とにかく怖く、粗く、そして現実味を帯びたものであるということ。これを受け、撮影監督のダリウス・コンジはフィルムの現像に「銀残し」という特殊な方法を採用、暗部を徹底的に暗くした陰影の強い映像を作り出した。これにより、暗闇に何が潜んでいるか分からない怖さをより強調させ、白黒に似た画面の中で、実物以上の存在感や手を伸ばせば触れられるかのような臨場感を狙ったという。また、手持ちカメラの粗っぽい動きで、ドキュメンタリータッチのリアルな映像を生み出し、フィンチャーの意図するビジュアルを作り上げたのである。なお、撮影にあたっては『 コールガール』(1971)『 フレンチ・コネクション』(1971)を参考にしたという。




 また、サウンドデザインも手を抜いてはいない。『セブン』では、室内のシーンでもパトカーのサイレンや街の雑踏・喧騒が終始流れ、リアルな都会の日常が痛いほど伝わって来る。この喧騒のSE(サウンドエフェクト)を作る際は、実際に清掃人と通行人などのシチュエーションを設定、喧嘩の内容まで書いた台本を用意して実際の役者に演技をさせ、それを録音したという。しかも録音したその音をそのままミキシングに使用するのではなく、部屋の外に置いたスピーカーで収録した音を流し、部屋の中でその音を再録音するという徹底ぶりだ。


 これだけ徹底したビジュアルやサウンドも、全ては物語を語るため。あの「すごい」と思った脚本を具現化するための手段なのである。フィンチャーは映画において、ただカッコよくスタイリッシュな映像を撮りたいのではない。物語を語るという本質が全くブレていないからこそ、『セブン』はあれほどまでの傑作になりえたのである。


参考資料:

『セブン』ブルーレイ音声解説、未公開映像集より

映画『 サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ




CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。



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『セブン』

ブルーレイ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税

ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

Seven© 1995 New Line Productions, Inc. All rights reserved. © 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


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