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『フェイス/オフ』極限まで感情を揺さぶる、ジョン・ウーの傑作アクション

(c)Photofest / Getty Images

『フェイス/オフ』極限まで感情を揺さぶる、ジョン・ウーの傑作アクション

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激情に突き動かされてこそのハードなアクション



 何より、この映画がジョン・ウー作品らしいのは、エモーションの高まりが映画の進行とともに観客に伝わってくることだろう。冒頭、トロイに愛息を殺されたアーチャーの悲痛な叫び。捜査のために、誰よりも憎いトロイの顔を自分に移植したアーチャーの動揺。顔の移植後、トロイがアーチャーの妻とベッドを共にしていることを知ったときのアーチャーの苦悶。そして、悪党だが家族思いでもあるトロイが、アーチャーに共犯の弟を殺された際の激しい怒り。他にも、アーチャーの妻やトロイの愛人ら、キャラクターの感情の機微が細やかにとらえられており、見進めるほどに感情の高ぶりを押さえられなくなる。美しくも壮絶なアクションは、これらの人間ドラマにしっかりと支えられているのだ。



『フェィス/オフ』(c)Photofest / Getty Images


 8千万ドルで製作された本作は、その3倍の世界興収を上げ、ジョン・ウーの名を世界の隅々にまで広げた。ウーはこの成功をステップにして、トム・クルーズと組んで『ミッション:インポッシブル』(96)の続編『M:I-2』(00)の監督を務める。さらにケイジと再び組み、意欲的な戦争ドラマ『ウインドトーカーズ』(02)を演出。中国に戻った後も『レッドクリフ』2部作などのヒット作を連打する。


 日本でもロケを行なった『マンハント』(17)以降、新作が途絶えて4年が経過した。現在は『レッドクリフ』のウェブ用ドラマシリーズの製作に取り掛かっていると噂されているウー。ファンとしてはスクリーンで、あの至高のスローモーション・アクションを堪能したいところだが、それはまだ先になりそう。ここは世界を熱狂させ、酔わせ、泣かせた『フェイス/オフ』を、今一度堪能してみてはどうだろう。



文:相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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