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『最後の決闘裁判』これぞリドリー・スコット!史劇・ミステリー・対決・強いヒロインの集大成

© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『最後の決闘裁判』これぞリドリー・スコット!史劇・ミステリー・対決・強いヒロインの集大成

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長いキャリアを歩み続ける監督



 決闘場面に登場する競技場には荒廃した雰囲気があり、そこには冷たい雪が降り続ける。人物たちの追いつめられた心情を代弁するかのようなスケールの大きな背景作りも見事で、このあたりにもスコットの並外れた視覚的なセンスが生きる。そして、ふたりの男たちの決闘は本当にパワフルで、現在80代の監督作品とは思えない力技を堪能できる。


 すでに次の映画(レディ・ガガとアダム・ドライバー主演の『ハウス・オブ・グッチ』(21)も待機中のスコット。さらにホアキン・フェニックスがナポレオン役、ジョディ・カマーが妻のジョセフィーヌを演じる新作“Kitbag”も予定されている。


 デビュー作『デュエリスト』の発表からすでに40年以上の歳月が流れているが、今もスコットの創作意欲は衰えない。ただ、意欲だけでは彼のように長いキャリアを歩み続けることはできないだろう。彼は職人監督としての調整能力がすごく高い。下の世代の映画人たちの才能を受け入れ、彼らのアイデアにも耳を傾ける。その柔軟な姿勢こそ、彼が長いキャリを保てる秘訣ではないだろうか。



『最後の決闘裁判』© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.


 今回の映画ではマット・デイモンのオファーを快諾し、この大作の製作を決意した。デイモンはオスカー脚本賞受賞の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)以来、久しぶりにベン・アフレックと共同脚本を手がけ、男性目線による最初の2つの章を書いた(俳優としてのアフレックはカルージュを冷遇する伯爵役で登場)。


 そして、3章目の女性目線のパートはニコール・ホロフセナーに脚本をゆだねた。彼女は“隠れた傑作”『ある女流作家の罪と罰』(18、日本ではDVD公開)のシナリオでオスカー候補になった才人。有名人の手紙の贋作事件が描かれ、人間の罪の意識をテーマにしていた点が今回の作品との共通点でもある。ホロフセナーは今回、マルグリット役のカマーの意見も取り入れ、女性ならではの感覚を生かしながら脚本を書き上げたという。


 スコットはチームワークによる仕事や、俳優とのディスカッションを好むそうだが、今回はこうした複数の人物による脚本も見事に1本の作品としてまとめ上げ、見ごたえのあるエンターテインメントを作り上げた。


 かつて軍人の道はあきらめたが、今では映画作りという“軍(チーム)”の優秀な指揮官となって、後輩の映画人たちを導き続けている。



文:大森さわこ

映画ジャーナリスト。著書に「ロスト・シネマ」(河出書房新社)他、訳書に「ウディ」(D・エヴァニアー著、キネマ旬報社)他。雑誌は「ミュージック・マガジン」、「キネマ旬報」等に寄稿。ウエブ連載をもとにした取材本、「ミニシアター再訪」も刊行予定。



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作品情報を見る



『最後の決闘裁判』

10月15日(金)公開

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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