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『最後の決闘裁判』これぞリドリー・スコット!史劇・ミステリー・対決・強いヒロインの集大成

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『最後の決闘裁判』これぞリドリー・スコット!史劇・ミステリー・対決・強いヒロインの集大成

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『最後の決闘裁判』あらすじ

中世フランス──騎士の妻マルグリットが、夫の旧友に乱暴されたと訴えるが、彼は無実を主張し、目撃者もいない。​真実の行方は、夫と被告による生死を賭けた“決闘裁判”に委ねられる。それは、神による絶対的な裁き──勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いしても罪人として死罪になる。そして、もしも夫が負ければ、マルグリットまでもが偽証の罪で火あぶりの刑を受ける。果たして、裁かれるべきは誰なのか?


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なぜ、スコットは対決にこだわるのか?



 リドリー・スコット監督の映画には対決の場面が多い。彼の代表作の一本、『ブレードランナー』(82)のクライマックスは、ルトガー・ハウアー扮するアンドロイドとハリソン・フォードの捜査官のパワフルな対決、オスカー作品賞受賞の『グラディエイター』(00)では、ラッセル・クロウ演じる剣闘士とホアキン・フェニックスの国王の戦いが登場した。また、『エイリアン』(79)では、宇宙船で最後の生き残りである飛行士、シガニー・ウィーバーとエイリアンの死闘が最後の見せ場だった。彼の映画では、一対一の対決に向かって物語がつき進むことが多い。


 今回の『最後の決闘裁判』(21)でも、ふたりの男、マット・デイモンとアダム・ドライバーの決闘が強烈な見せ場となり、スコットの視覚的な手腕が生かされる。“決闘”という古い形式にこだわって考え直すと、監督デビュー作『デュエリスト/決闘者』(77)からして決闘の物語。こちらはジョセフ・コンラッドの短編小説の映画化で、映画版は『デュエリスト』と人間主体のタイトルだが、小説の原題は“Duel”(決闘)だった。本作の原作本のタイトルは”The Last Duel“(邦題「最後の決闘裁判」、エリック・ジェイガー著、早川書房刊)ゆえ、タイトルだけ見ると、今回の映画はスコットの記念すべきデビュー作の姉妹編ともいえる。フランスが舞台で騎士や軍人たちが剣を手にして戦う、という点も共通しているが、デビュー作は19世紀、今回は14世紀、と映画の時代背景は異なる。


『最後の決闘裁判』予告


 なぜ、スコットは対決や決闘にこだわるのだろう? 98年にポール・M・サモンが書いた“Joining the Club”というインタビュー記事によれば、20歳の頃、スコットは海軍に入ることを本気で考えていたという。父親が軍人ゆえ、自分も同じ道に進むことが自然の流れに思えたのだろう。


 「ただ、その時、父に助言を受けた。決めるのはお前だが、私は美術大学に行ったほうがいいと思う。自分の才能を生かすべきだ、とね」(ポール・M・サモンのインタビューより)


 結局、スコットは海軍をあきらめ、ロンドン王立美術大学に入って絵の才能を磨くことになった。そして、卒業後は絵筆のかわりにカメラを持つようになったが、彼の興味の原点に“戦う”=対決への好奇心が潜んでいるのではないだろうか。




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