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『荒野の七人』時代劇を西部劇に換骨奪胎した、偉大なるクロサワ・リメイク ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『荒野の七人』時代劇を西部劇に換骨奪胎した、偉大なるクロサワ・リメイク ※注!ネタバレ含みます。

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急ピッチでキャスティングされた、7人のガンマンたち



 急ピッチで進められるキャスティング作業。ここでも、ユル・ブリンナーは大きな影響力を発揮した。


 ジョージ・ペパードやジーン・ワイルダーも候補に挙がっていたサブリーダーのヴィン役には、スティーブ・マックイーン。当時彼はCBSで放送されていたテレビドラマ『拳銃無宿』(58~61)に出演中で、スケジュール的には完全にアウト。そこで彼はわざと車をクラッシュさせて、“病欠”している間に『荒野の七人』の撮影に参加するという離れ業を披露。見事ヴィン役をゲットする。


 血気盛んな最年少のチコ役には、ホルスト・ブッフホルツ。彼自身はベルリン出身のドイツ人で、その後も国際俳優として数多くの外国映画に出演。『エイセス / 大空の誓い』(92)では、我らが千葉真一との共演も果たしている。クールな賞金稼ぎのリー役には、ロバート・ヴォーン。『0011ナポレオン・ソロ』(64~68)で人気を博した個性派だ。テレビドラマ版『荒野の七人』(98)では、トラヴィス判事役でサプライズ出演している。



『荒野の七人』(c)Photofest / Getty Images


 やたら金目のものに執着するハリー役には、ブラッド・デクスター。彼はフランク・シナトラの友人で(シナトラの主演作『勇者のみ』(65)や『脱走特急』(65)にも出演している)、彼の取りなしでジョン・スタージェスに紹介してもらい、役をゲットしたんだとか。そして子供に優しいオライリー役には、まだブレイク前のチャールズ・ブロンソン。この後 『大脱走』(63)や『さらば友よ』(68)、『狼の挽歌』(70)といった大作・話題作に出演し、一気に大スターへの階段を駆け上ることになる。


 最後まで難航したのが、ナイフ投げの達人ブリット役。元々は『アスファルト・ジャングル』(50)や『現金に体を張れ』(56)で、犯罪者役を貫禄たっぷりに演じたスターリング・ヘイドンが演じる予定だったが、なんやかんやで降板。ロバート・ヴォーンの推薦もあって、ヘイドンよりも一回り若いコバーンが抜擢された。『七人の侍』を15回も鑑賞するほどオリジナル版の大ファンだった彼は、久蔵役を演じた宮口精二の芝居を徹底的に研究し、自分の役作りに反映させたという。後年、彼はインタビューでこんなコメントを残している。


 「私のセリフは11行だけ。それだけだった。(中略)でも、セリフの数は重要ではない。どのように演じるか、どのようなパフォーマンスを見せるかが重要なんだ。私の場合は、オリジナル版の役(宮口精二)からほとんどのことを学んだ。彼は何も言う必要がないんだよ」(ジェームズ・コバーンへのインタビューより引用)


 遂に勢揃いした7人のガンマンたち。だが、撮影に入るとさらなる難題が待ち受けていた。映画の主導権を巡って、ユル・ブリンナーとスティーブ・マックイーンの関係が悪化してしまったのである。




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