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『プライベート・ライアン』革命を起こし続けるスピルバーグの映画作家としての矜持
2018.03.27
ライド・アトラクションを先導したスピルバーグ映画
もとよりスピルバーグは、このような「ライド・アトラクション型映画」と異口同音ともいうべき観客の体感コントロールに、キャリアの早期から挑んできた監督である。日本では劇場公開されたTVムービー『激突!』(71)は、「謎のトレーラーに行く手を阻まれるドライバー」というプリミティブなサスペンス状況を映像へと置換させ、視聴者の視点を主人公に密着させているし、続く『ジョーズ』(75)では精度の高いショッキング描写で観客の目をスクリーンに釘付けにさせた。そして『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)では、ジョージ・ルーカスの意向にしたがい編集のリズム感を徹底して上げ、坑道でのトロッコによるジェットコースター場面など、文字どおりライドなシチュエーションを観る者に提供している。
『ジョーズ』予告
さらには後年、そんな彼のスタイルにセミドキュメンタリー調のルックが与えられることで、観客をよりリアルな映像体験へといざなっている。『アミスタッド』(97)における帆船アミスタッド号上での奴隷虐待のくだりや、『ミュンヘン』(05)の五輪選手村におけるイスラエル選手の襲撃シーンなど、あたかも自分がそこにいるかのごとく主観性を伴う描写が、ときに映画全体のバランスを崩しかねない形で挿入されている。