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『GUNDA/グンダ』五感を集中させることで世界のざわめきを感じる、至高の映像体験

© 2020 Sant & Usant Productions. All rights reserved.

『GUNDA/グンダ』五感を集中させることで世界のざわめきを感じる、至高の映像体験

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『GUNDA/グンダ』あらすじ

ある農場で暮らす母ブタGUNDA。生まれたばかりの子ブタたちが、必死に立ち上がり乳を求める。一本脚で力強く地面を踏み締めるニワトリ。大地を駆け抜けるウシの群れ。迫力の立体音響で覗き見るその深遠なる世界には、ナレーションや人口の音楽は一切ない。研ぎ澄まされたモノクロームの映像は本質に宿る美に迫り、驚異的なカメラワークは躍動感あふれる生命の鼓動を捉える。ただ、そこで暮らす生き物たちの息吹に耳を傾けると、誰も気に留めないようなその場所が、突如“無限の宇宙”に変わる――誰も観たことのない映像体験が待ち受ける。


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ホアキン・フェニックスが協力を申し出た、異色のドキュメンタリー



 劇場で『GUNDA/グンダ』(20)の予告編を目撃したとき、脳天に稲妻が走った。一心不乱に母親グンダの乳を求める子豚たち、カウベルの音を響かせて駆け回る牛の群れ、逆光に照らされるなか一本脚で歩みを進める鶏。光沢のあるモノクローム映像で、農場に暮らす動物たちがありのままに切り取られている。何て美しく、何て神々しいことか!


 おまけに、ポール・トーマス・アンダーソン、アルフォンソ・キュアロン 、アリ・アスター 、リン・ラムジーと、マイ・フェイバリット・フィルムメーカーたちもこぞって絶賛しているとあれば、確実に俺案件。一足早く試写で鑑賞させていただきましたが、想像を上回る“至高の映像体験”だった。



『GUNDA/グンダ』© 2020 Sant & Usant Productions. All rights reserved.


 音楽なし、ナレーションなしの野心的なドキュメンタリー映画を作り上げたのは、ロシア出身のビクトル・コサコフスキー。レニングラード・スタジオ・オブ・ドキュメンタリーでアシスタント修行しながら研鑽を積み、母国の哲学者アレクセイ・フェドロビッチ・ロセフにフォーカスを当てた『Losev』(89)で長編映画デビュー。その後は、自分と同じ年月日に生まれた人たちを追った『Wednesday』(97)、サンクトペテルブルクの道路工事を撮影した『Hush!』(03)、環境問題に警鐘を鳴らす『アクアレラ』(19)など、あらゆる題材を撮り続けてきた。


 正直、日本では無名の存在に近いコサコフスキー監督だが、この『GUNDA/グンダ』にはなんと俳優のホアキン・フェニックスがエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねている。共同プロデューサーのジョスリン・バーンズが、「彼ならこの作品が気にいるはずだ」と主張し、半信半疑でホアキン・フェニックスとコンタクトを取ったところ、「この映画に関わりたい、もっと多くの人に観てもらいたい」と協力を申し出てくれたのだ。


 晴れて日本でも劇場公開される運びとなったのは、間違いなくホアキン・フェニックスのネームバリューに寄るところが大きい。極東の国より最弱映画ライターである筆者が、皆に代わって御礼申し上げます。ありがとう、ホアキン。




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