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ドキュメンタリー映画『BELUSHI ベルーシ』 とあわせて知っておきたい”もう一つの”ベルーシ伝説

Belushi © Passion Pictures (Films) Limited 2020. All Rights Reserved.

ドキュメンタリー映画『BELUSHI ベルーシ』 とあわせて知っておきたい”もう一つの”ベルーシ伝説

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みんなベルーシのことが好きだった



 ベルーシの悪癖は十分知っていたはずなのに、なぜスピルバーグは「彼ともう一度、仕事がしたい」と思ったのだろう。書籍に目を通していると、彼のこんな言葉が見つかった。


 「ぼくにいわせれば、ジョンは映画の中とは正反対の人物だね。とても優しい奴で、愛を求め、人から好かれることを望み、自分でも人を好きになろうとする・・・ジョンはぼくらの破壊的な側面を見せてくれているんじゃないかな。アメリカ中の散らかったベッドルームを代表しているようなものだ」(*1)



『BELUSHI ベルーシ』Belushi © Passion Pictures (Films) Limited 2020. All Rights Reserved.


 スピルバーグは、自身が物事を徹底してコントロールする性格なだけに、真逆の生き方をするベルーシのことが、その弱さや欠点も含めて、大好きだったのかもしれない。それは同時に、本作『BELUSHI ベルーシ』の中に散りばめられた、友人たちの証言に共通する思いでもある。当時、近くにいた者たちは、台風のようなベルーシから少なからぬ被害を被り、怒ったり笑ったりしながら、それでも彼のことが好きだった。彼のことを嫌いになんてなれなかったのだと思う。


 享年33。もし生きていれば2021年で72歳になる。ベルーシが俳優として、エンタテイナーとして、どのような老い方をするのか見てみたかった。本作に触れると決して叶わぬそんな思いが、込み上げて止まらなくなるのである。



参考資料:

・「地球に落ちてきた男」ジョン・バクスター著、野中邦子訳、角川書店、1998

・「スティーブン・スピルバーグ 人生の果実」アンドリュー・ユール著、高橋千尋訳、プロデュース・センター出版局、1999

・「ゴーストバスターズ」DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、2014


*1)「地球に落ちてきた男」P.209より引用



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU 

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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作品情報を見る



『BELUSHI ベルーシ』

12月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

Belushi © Passion Pictures (Films) Limited 2020. All Rights Reserved.

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