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『マトリックス レザレクションズ』歴史的シリーズがたどり着いた、極私的な“答え” ※注!ネタバレ含みます。

©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

『マトリックス レザレクションズ』歴史的シリーズがたどり着いた、極私的な“答え” ※注!ネタバレ含みます。

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両親と親友の死から生まれた、“復活”の物語



 『マトリックス レザレクションズ』が示した、本シリーズの“答え”。そこに踏み込んでいく前に、本作が製作されるに至った背景を見ていこう。


 『マトリックス』3作目以降も、ウォシャウスキーコンビの元には続編製作のオファーが頻繁に届いていたという。映画史を変える作品を生み出した者の宿命といえるが、ふたりは「続けることありき」な考え方に難色を示し、実現することはなかった。


 ただ、ある“事件”が起こったことで、想定外だった続編の企画が動き出すことになる。それは、ウォシャウスキーコンビの両親と親友が相次いで亡くなってしまったこと。悲しみのどん底に突き落とされたラナ・ウォシャウスキーは、第3作『マトリックス レボリューションズ』で命を落としたネオとトリニティーを“復活(レザレクション)”させることで、失意を克服しようとしたのだとか(逆にリリー・ウォシャウスキーは別の方法で近しい人々の死を乗り越えるため、本作には不参加)。



『マトリックス レザレクションズ』©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.


 そういった意味では、『マトリックス レザレクションズ』は非常に私的かつナイーブな感情から生まれた「作り手のため」の作品ともいえるだろう。そうした“感覚”は全編にわたって流れており、先に述べた「『マトリックス』とは何か、に至るまでの彷徨そのものを描く」構造も、この成り立ちを知ると合点がいく。


 その部分に言及する前段として、『マトリックス レザレクションズ』のあらすじを端的に述べたい。描かれるのは『マトリックス レボリューションズ』後の世界。ネオ(キアヌ・リーヴス)はある理由から復活させられ、“人間電池”としてマトリックス(仮想現実)の世界に再び囚われていた。だが、モーフィアス(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)、そしてバッグス(ジェシカ・ヘンウィック)ら“後輩”たちによって現実に引き戻されたネオは、トリニティー(キャリー=アン・モス)も復活したと知り、彼女の奪還のために動きだす。


 一言でいうなら、「復活したネオが同じく蘇ったトリニティーを救おうとする」物語なのだが、これまではローレンス・フィッシュバーンが演じたモーフィアスとヒューゴ・ウィーヴィングが扮したエージェント・スミスを別の俳優が演じる(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/ジョナサン・グロフ)ことを含め(ここにもちゃんと物語上に必然性を持たせてある)、細部はなかなかに複雑だ。以降の項目で、よりかみ砕いて紹介したい。





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