1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バイオハザード
  4. 『バイオハザード』ホラー映画のジャンルに新風を吹き込んだ功績とは?
『バイオハザード』ホラー映画のジャンルに新風を吹き込んだ功績とは?

(c)Photofest / Getty Images

『バイオハザード』ホラー映画のジャンルに新風を吹き込んだ功績とは?

PAGES


ゲームのように快調なテンポでホラーを撮った俊英



 そもそも本作の監督は、ジョージ・A・ロメロが務めるはずだった。ホラー・ファンには説明するまでもないが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)『ゾンビ』(78)『死霊のえじき』(85)の“リビングデッド三部作”で知られるゾンビ映画の巨匠。そもそもゲーム自体が、これらのロメロ映画から影響を受けているのだから、この“先祖帰り”は必然的にも思えた。ロメロはゲーム一作目のプロットを忠実に再現して映画を構築する。しかしプロデューサー陣は、映画公開時にはゲームシリーズの最新作が発売されていることが考慮し、このアイデアが古臭く思われることを危惧。結果、ロメロは降板することになる。


 代わって監督の座を就いたのはロメロより二回りも若い、イギリス出身のポール・W・S・アンダーソン。ゲーム世代であり、1995年にはゲームの映画化『モータル・コンバット』(95)を一応の成功に導いた実績があり、『イベント・ホライゾン』(97)ではスリラー演出も経験していた。そして当然のようにゲーム『バイオハザード』の大ファンであった。


『バイオハザード』(c)Photofest / Getty Images


 アンダーソンはゲームのプロットを生かしながらも、ゲームに登場するキャラクターを排除し、アリスをはじめまったく新しい登場人物を配置した。「ゲームをプレイしていて感じたのは、“このゲームには、まだ語られていない物語がある”ということだった。映画では、それを補完したいと思った」と、彼は語る。


 映画の作りの上では、ゲームをプレイしている際の緊張感を重視。ハイブ潜入後の部隊は立て続けに危機に見舞われる。コンピューター制御のレーザーカッターに切り刻まれる隊員の惨死、ゾンビの群れの猛襲、噛まれた隊員のゾンビへの変異、ゾンビ犬やクリーチャーの襲来……。これらの見せ場にアリスの失われた記憶のミステリーや、裏切者の正体の発覚といった衝撃の展開が絡み、たたみかけるようにスリルを高めていく。コアなホラー・ファンの間では好き・嫌いが分かれるところだが、より広い観客層にアピールするエンタテインメント映画として、この設計は正しい。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バイオハザード
  4. 『バイオハザード』ホラー映画のジャンルに新風を吹き込んだ功績とは?