苦難を乗り越えてシリーズは好循環する!
3,300万ドルで製作された映画『バイオハザード』は結果的に1億ドルの興行収入を上げる。ハリウッド映画以外はなかなかヒットしないアメリカでも予想外のヒットを飛ばした。これにより、続編ではハリッド資本も投入され、ミラが主演を務めた『バイオハザード』シリーズは全6作が作られることになった。
彼女とアンダーソン監督は、この第一作が縁で恋仲となるが、2作目の製作時には破局してしまっていた。アンダーソンは2、3作目では監督を降板し、製作・脚本で裏方に徹することに。「悲しい恋を経験した。でもそのお陰で、強くなれた」と、ミラは当時語っていた。しかし、男女の仲はわからないもので、3作目の劇場公開時には復縁し、アンダーソンが監督復帰を果たした4作目の製作時にふたりは結婚。この後6作目まで、シリーズは彼らの情熱の結晶として実を結ぶ。シリーズ以外にもこのコンビは『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』(11)を製作し、2020年には新たな人気ゲームの映画化『モンスターハンター』を生み出した。
『バイオハザード』(c)Photofest / Getty Images
一作目を撮るはずだったロメロは2017年に惜しまれつつ世を去った。が、彼が当時考案したゲームに忠実な映画化というコンセプトは、劇場版最新作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』に受け継がれている。このようにして『バイオハザード』の映画化史を俯瞰すると、様々な意味で好循環があったことがわかる。
この機に、ぜひ映画『バイオハザード』を見直してみて欲しい。ゲームをエンタテインメントとして高濃度で再構築する、映画人の情熱がそこにあるのだから。
文:相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
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