1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ゴーストバスターズ アフターライフ
  4. 『ゴーストバスターズ アフターライフ』ライトマン父子の全く異なるアプローチが、時代を超えてひとつに結びつく時
『ゴーストバスターズ アフターライフ』ライトマン父子の全く異なるアプローチが、時代を超えてひとつに結びつく時

『ゴーストバスターズ アフターライフ』ライトマン父子の全く異なるアプローチが、時代を超えてひとつに結びつく時

PAGES


三世代の主人公たちがもたらしたもの



 興味深いのはジェイソン・ライトマンが本作を、二世代ではなく、あえて三世代の物語にしたことである。


 30年以上もの月日が必然的にこの状況を作り出したのは明らかだ。それをリアルな時の流れとして活用することで、一度積み上げ、崩れたものを、新たな世代がまた積み上げるチャンスが生まれる。また、二者が分かり合えなくとも、もう一者が間に入って関係性を修復することも可能だ。構造的に考えても三世代はメリットが大きい。


 一方で、この図式が6歳の頃からバスターズを見守り続けてきたジェイソン・ライトマン本人に当てはまることも、作品を見つめる上での一つの鍵となろう。彼には先述の通り、バスターズの一員に等しいレジェンドな父がいるのと同時に、この映画の主人公フィービーとほとんど変わらないくらいの年齢の娘がいる。夫婦が離婚しているという点も本作の設定とよく似ている。ジェイソンは、娘のために、この若くて賢くて、何よりも科学が大好きなんだけど、周囲の理解がまだよく得られずにいるヒーローを見せてあげたいと感じたそうだ。



『ゴーストバスターズ アフターライフ』


 すなわち『ゴーストバスターズ アフターライフ』は、どこか一風変わった大作映画でありつつ、個人的な思いがたくさん詰まった最もプライベートな家族映画でもある。父世代が築き上げたものへ捧げるラブレターであり、苦難を乗り越えて成長していく娘世代へ向けた精一杯のエールであり、なおかつキャリー・クーン演じるフィービーの母親のように、上と下の世代に挟まれながら今いる場所で奮闘する世代(すなわちジェイソン世代そのもの)にも深く寄り添った物語と言えるのだ。


 もし今後の展開があるとすれば、それはあらゆる意味で家業やレガシーから離れ、自由な発想に基づくオバケ退治のお話になるのかも。ここからがようやくスタートラインといった気もする。もちろん観客が望めばの話だが---。



追記:この原稿を執筆した直後、アイヴァン・ライトマン監督が75歳で亡くなったとの訃報が飛び込んできました。数々のコメディ作品によっていつも観客の心を明るく沸き立たせてくれた名監督に感謝を捧げるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。



参考資料:

https://www.insider.com/ghostbusters-afterliife-jason-reitman-interview-2021-10

https://www.empireonline.com/movies/features/ghostbusters-afterlife-spoiler-special-director-jason-reitman-on-cujo-callbacks-and-killing-jk-simmons/



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU 

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。 



『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を今すぐ予約する↓




作品情報を見る



『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

2022年 2月4日(金)より全国の映画館にて公開

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ゴーストバスターズ アフターライフ
  4. 『ゴーストバスターズ アフターライフ』ライトマン父子の全く異なるアプローチが、時代を超えてひとつに結びつく時