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『ダンテズ・ピーク』リアリティを追求したディザスター映画の秀作(前編)

(c)Photofest / Getty Images

『ダンテズ・ピーク』リアリティを追求したディザスター映画の秀作(前編)

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火山調査ロボット



 ポールに戻るように命じられたハリーは、それでも不安を感じ、調査チームに参加することにした。そして同僚のテリー(カーク・トラットナー)と共に、ダンテズ・ピークの調査に向かう。まずヘリをチャーターして空中からガスの成分を分析し、火口近くに地震計を設置する。そして新たな試みとして、クモのような8本脚ロボットを使用することにした。しかし試運転の段階で、NASAが取り付けたELF(超低周波発信機)が原因で誤作動することが分かり、これは外して麓に置いてきた。


だがダンテズ・ピークの火口内部は、岩の起伏が激しく、ロボットの脚はすぐに動かなくなってしまう。テリーは何でも蹴り飛ばして直すクセがあり、今回もそうするべく火口内に降りて行った。その時、地震が起きて岩が崩れ、彼は足を骨折してしまう。


 「このシーンはSF的誇張ではないのか?」と思われた方もいるだろう。しかしこれも、実際の火山研究に基づいた描写なのだ。それは90年代に、カーネギーメロン大学フィールド・ロボティクス・センターとNASAが共同研究として行った、Dante及びDante-IIプロジェクトで、1993年に実際に起きた火山学者8名の死亡事故に対応するために計画されたものだった。そして映画と同様に、8本脚のクモ型ロボットを用い、アラスカのスパー山で火山ガスのサンプルを採取している。


ダンテズ・ピーク


 またダンテズ・ピーク火口のロケは、ワシントン州・カスケード山脈のセント・ヘレンズ山で行われた。この山は1980年に大噴火を起こし、大規模な山体崩壊によって標高が2,950mから2,550mに減少した。そして山体崩壊前の姿が、架空の山であるダンテズ・ピークのモデルになっている。




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