2018.05.09
純粋な日本語のタイトルと作品のムードの一致
興味深いのは、日本公開時のタイトル、いわゆる邦題だ。アシマンの原作が日本語訳として出たのは、今回の映画公開の合わせたタイミングなので、原作の日本語タイトルに映画が倣ったわけではない。最近の映画では、このような原題からストレートな翻訳は、意外に珍しい。『 オリエント急行殺人事件』など固有名詞が含まれる場合は、直訳タイトルも多いのだが、カタカナが入らず、しかも文になっているケースは稀である。『君の名前で僕を呼んで』のように、美しいセリフの数々で紡がれる作品には、このような美しい日本語のタイトルがしっくりくる。
『君の名前で僕を呼んで』©Frenesy, La Cinefacture
洋画の邦題は、配給会社が決定する。そのスタイルは、原語のタイトルをそのままカタカナにするパターン(A)。まったく意味の違う日本語にするパターン(B)。カタカナで一見、そのままかと思いきやじつは原題と違うパターン(C)。そして『君の名前で僕を呼んで』のような完璧直訳(D)。そして微妙に原題の訳を取り入れ、日本語のタイトルらしくしたパターン(E)などだ。