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『パンチドランク・ラブ』ポップで、ハイブロウで、エキセントリックなラヴ・ストーリー

(c)Photofest / Getty Images

『パンチドランク・ラブ』ポップで、ハイブロウで、エキセントリックなラヴ・ストーリー

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『パンチドランク・ラブ』あらすじ

トイレの詰まりを取る吸盤棒をの販売を営む主人公バリーは、姉が7人もいるという環境で育ったせいか、いささか情緒不安定。そんな彼の唯一の楽しみは、プリンを大量に買って航空会社のマイレージを貯めること。そんなある日、姉のエリザベスが連れてきた同僚のリナと出会う。次第に二人の距離は縮まっていくが、何の気なしに利用してしまった風俗サービスから、様々なトラブルに見舞われることになってしまう…。


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ヘビー級の群集劇からライト・コメディーへ



 『パンチドランク・ラブ』(02)、"強烈な一目惚れ”。いやー何てポップで、ハイブロウで、エキセントリックなタイトルなんだろう。それに輪をかけて映画自体も、ポップで、ハイブロウで、エキセントリックなラヴ・ストーリー。筆者はこの映画が大好きなんであります。


 ザックリ内容をかいつまむと、こんな感じ。ヘンテコな吸盤棒の販売を営む主人公バリー・イーガン(アダム・サンドラー)は、姉が7人もいるという特殊環境で育ったせいか、いささか情緒不安定。すぐにキレてはモノを破壊してしまい、恋愛とは程遠い生活を送っていた。そんな彼の唯一の楽しみは、プリンを爆買いして航空会社のマイレージを貯めること(このエピソードは、デヴィッド・フィリップスなる人物がヘルシー・チョイス社のプリンを約3,000ドル分購入して、100万マイルを超えるマイレージをゲットした実話に基づいている)。


 そんなある日、姉のエリザベス(メアリー・リン・ライスカブ)が連れてきた同僚のリナ(エミリー・ワトソン)にバリーが一目惚れ。次第に二人の距離は縮まっていくが、何の気なしに利用してしまったテレフォンセックス・サービスから、様々なトラブルに見舞われることになってしまう…。


『パンチドランク・ラブ』予告


 本作は、鬼才ポール・トーマス・アンダーソンの4本目の劇場用映画にあたる。上映時間156分の『ブギーナイツ』(97)、188分の『マグノリア』(99)と、ヘビー級の群集劇を2本撮りあげた後、彼は短い尺のライト・コメディーを作ろうと考えていた。まだ数本しか製作していないにも関わらず、評価として固まりつつあった“PTAスタイル”を自らの手でブチ壊したい、という気持ちもあったのかもしれない。そんな時ポール・トーマス・アンダーソンの頭に浮かんだのが、『ウェディング・シンガー』(98)や『ビッグ・ダディ』(99)で知られるアダム・サンドラーだった。彼はこのコメディアンの大ファンだったのである。


「彼の映画はほとんど全部好きで、いつも見ていて心地よさを感じている。土曜の夜、何か楽しいものを観たいと思ったら、アダム・サンドラーの映画を観る。そして悲しいことがあったら、やっぱりアダム・サンドラーの映画を観る。『マグノリア』や『奇跡の海』(96)を見るのは最後だ。だからサンドラーを見て、ああ、俺もあんな風になりたいな、と思うんだ。あの男から学びたいんだよ」(*)




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