『RRR』あらすじ
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、それぞれの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに……。
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妄想から誕生した、二人の革命家の物語
『バーフバリ 伝説誕生』(15)、『バーフバリ 王の凱旋』(17)のバーフバリ・シリーズで全世界を熱狂させたS.S.ラージャマウリ監督が、最新作『RRR』(22)でまたやってくれた。「全宇宙待望の最新作」、「史上最高濃度の映画体験」という豪快なキャッチコピーも納得。とにかくGRRREATで、POWERRRFULで、SUPERRRなアクション超大作なのである。主演を務めるのは、インド映画界トップスターのNTR Jr.(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)とラーム・チャラン。製作費は、インド映画史上最高の7,200万ドル(約97億円)。上映時間は179分とかなり長尺だが、体感は30分程度なので安心していただきたい(筆者調べ)。
『RRR』(トリプル・アールではなく、アール・アール・アールと読む)とは何とも摩訶不思議なタイトルだが、元々は監督のS.S.ラージャマウリ(Rajamouli)、NTR Jr.、ラーム・チャラン(Ram Charan)の名前にある「R」を3つ重ねた仮タイトルだった。監督自身のコメントを引用してみよう。
「面白いことに、映画のタイトルを発表した時は、仮のものとして私たちの名前の頭文字を入れただけだったんだけど、観客やファンがとても気に入ってくれて、彼らの頭の中で『RRR』がタイトルとして固定されてしまったんだ。実際にデザインを作り始めた時に、配給会社に聞いたら“とても舌触りがいいから、そのままやろう”ということになったんだよ」(※1)
『RRR』©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
さらにいえば、ビームが水(WATER)、ラーマが火(FIRE)の化身という設定にも「R」が使われているし、蜂起(RISE)、咆哮(ROAR)、反乱(REVOLT)というテーマにもリンクしている。勢い余ってインターミッションが「INTERRRMISSION」とハイテンションで表記されていたが、筆者もこの映画を観賞後は、「R」の文字を見かけるとムダに3つ並べたくなる病気にかかっております。
物語の舞台は英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた村の少女の奪還に命をかけるビーム、大きな大志を抱く英国警察ラーマの、友情と闘争の歴史が壮大なスケールで描かれる。コムラム・ビームとA.ラーマ・ラージュは実在の人物で、祖国のために戦った革命家。史実として二人が共闘することはなかったが、S.S.ラージャマウリは「もし、この二人が出会っていたら?」という妄想を膨らませて、この壮大なストーリーを構想した。