1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. THE FIRST SLAM DUNK
  4. 『THE FIRST SLAM DUNK』を貫く“そこに生きている感”。痛みを乗り越え、踏み出す一歩 ※注!ネタバレ含みます。
『THE FIRST SLAM DUNK』を貫く“そこに生きている感”。痛みを乗り越え、踏み出す一歩 ※注!ネタバレ含みます。

© I.T.PLANNING,INC. © 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

『THE FIRST SLAM DUNK』を貫く“そこに生きている感”。痛みを乗り越え、踏み出す一歩 ※注!ネタバレ含みます。

PAGES


映画化の初打診は2003年、2009年に企画書提出



 『THE FIRST SLAM DUNK』の制作過程において気になるのは、いったいどれくらいの歳月をかけて完成されたプロジェクトなのかということ。「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」と公式サイト内の井上雄彦のインタビュー、そして公式サイト内の東映アニメーション・松井俊之プロデューサーのインタビューを参照すると、映画化の打診は2003年の秋だったそう。TVアニメ版をDVD化した「SLAM DUNK DVD-BOX」の担当だった松井は、ファンの熱意を目の当たりにして原作事務所に赴いた。


 だが承諾が得られず、その後2009年に企画書を制作して再アタック。「湘北や対戦相手のバスケスタイルを分析したり、実在する高校のバスケ部にも取材に行き、戦術や戦略、プレイの面白さ、秒でせめぎ合う深さまで表現できるように、などの思いを編集してビデオレターにまとめた」(松井)ものを経て、2010年にはそれを基にパイロット版を制作。しかし、井上が首を縦に振るクオリティではなかったという。


 ちなみに、この時点でプロデューサーサイドは「3DCGでのアニメ映画化」を模索していたそう。「井上先生のキャラを作画で大量に描いて動かすのは現実的じゃないと思ってましたし、何よりバスケのプレイを表現するのにCG技術は魅力的なツールだった」「プロのストリートバスケットプレイヤーにご協力いただき、原作漫画のプレイシーンを実際にモーションキャプチャで収録して再現してみました」(松井)。


 そして2012年に2本目のパイロット版を制作して再アタックを試みるも、「キャラクターが生きていない、あいつらがそこに生きて動いている感がない」と却下(この部分は、井上が繰り返し言語化し、作品の核となっていく)。だが、松井プロデューサーは諦めなかった。「2D作画ルックの3DCGと、手描きの2D作画、そしてハイブリッドという組み合わせで漫画を動かす」表現方法で原作準拠を追求し、2014年末に井上と対面が叶い、対話の上で実に5年がかりで承諾にこぎつけた。


 なお、井上自身もCGの使用には理解を示した。「“そこに生きている感”はないと嫌だなというのがあって。バスケをリアルに描くという点で、10人それぞれが違う動きをするバスケで、それぞれの動きを手で描こうというのは、自分は知識がないんですが、さすがに無理なんじゃないかなと。それでCGを使うというのは必須だろうなと思っていました」(井上)


 その場で松井から井上に脚本・監督の打診を行い、2015年1月から脚本制作がスタートしたのだという。ただ井上にとっても映画制作は初めての経験。漫画つくりと同様にネームを描くところからストーリーを練っていったそうだ。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. THE FIRST SLAM DUNK
  4. 『THE FIRST SLAM DUNK』を貫く“そこに生きている感”。痛みを乗り越え、踏み出す一歩 ※注!ネタバレ含みます。