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『プリシラ』ドラァグクイーンを愛情たっぷりに描き、90年代クィアムービーの象徴に

(c)Photofest / Getty Images

『プリシラ』ドラァグクイーンを愛情たっぷりに描き、90年代クィアムービーの象徴に

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『プリシラ』あらすじ

オーストラリア、シドニーで暮らす3人のドラァグクイーン。最年長、バーナデットはすでに性別移行の手術を受け、誇り高い人生を送っているようで過去の苦闘をにじませる。ミッチは大切な友人を亡くし、別れた妻との間に子供もいる。いちばん若いフェリシアは怖いもの知らずの明るい性格。3人は入手したバス「プリシラ号」に乗って、大都会シドニーからオーストラリア中部、砂漠の真ん中にあるリゾート地でショーをするため、3000キロにわたる旅に出る…。


Index


最高のテイストに満ちたサウンドトラック



 マーティン・マクドナー監督の『スリー・ビルボード』(17)では、警官のディクソンが、ABBAの「チキチータ」を聴いている。それも周囲には知られないよう、こっそりと。あからさまに表現されてはいないが、ディクソンはゲイであり、そのことを隠して生きている。ABBAを好んで聴くのは、ゲイ。そんな暗喩が込められたわけだ。こうしたステレオタイプでの決めつけ方には賛否があるものの、“傾向”として映画の中で表現されるケースはよくある。


 そのABBAの曲がポイントで使われるのが『プリシラ』である。オーストラリアを舞台にした、3人のドラァグクイーンのロードムービー。“締め”として彼らがABBAの「マンマ・ミーア」を披露する姿は、あまりに麗しくカッコいい。『プリシラ』はこのようにパフォーマンスでの曲はもちろん、オープニングで主人公の一人、ミッチがリップシンク(口パク)で演じるシャーリーンの「愛はかげろうのように」など、サウンドトラックのセレクトが最高すぎ! ヴィレッジ・ピープルの「ゴー・ウエスト」やグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」など、ゲイコミュニティで人気を誇ったナンバーがズラリと並び、しかも歌詞もポジティブなものが多く、3人のドラァグクイーンの旅、その気分を果てしなく上げ続ける。同時に「愛はかげろうのように」のラストの歌詞に「私はパラダイスを訪れた。でも本当の自分には出会えなかった」(訳/筆者)とあるように、要所では切実な現実とさりげなくリンクさせ、心をくすぐるあたりも絶妙だ。


『プリシラ』予告


 3人の最年長、バーナデットはすでに性別移行の手術を受け、誇り高い人生を送っているようで過去の苦闘をにじませる。ミッチは大切な友人を亡くし、別れた妻との間に子供もいる。いちばん若いフェリシアは怖いもの知らずの明るい性格。「プリシア号」と名付けられたバスでの3人のドラァグクイーンの旅は基本的に楽しさ満点だが、立ち寄った町で受ける差別や、それぞれの葛藤も盛り込み、ストーリーの曲線も鮮やかだ。





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