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『リアリティ・バイツ』苦くなりそうな現実も明るくポップに描き、ジェネレーションXを体現

(c)Photofest / Getty Images

『リアリティ・バイツ』苦くなりそうな現実も明るくポップに描き、ジェネレーションXを体現

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理想のキャスティングでスタジオもゴーサイン



 『リアリティ・バイツ』は4人の若者がひとつのアパートメントで生活している設定。大学を卒業してテレビ局に就職するリレイナと、売れると思えないバンド活動を続けるトロイ(イーサン・ホーク)。このメインキャラクターの関係性を軸にするドラマに、三角関係のエピソードが効果的だと信じたスティラーは、当初は出演予定がなかったにもかかわらず、MTVの編成局長という役を発案、業界に詳しい自分が演じると申し出た。その結果、トロイの友人で両親へのカムアウトという問題にぶつかるゲイのサミーと、リレイナの友人でGAPで働き、男性との経験が豊富なヴィッキーは、やや出番が抑えられることになった。ちなみに映画公開の1994年、GAPはアメリカで急成長していたブランド(日本は1995年に第一号店がオープン)。コスパと機能性というブランドの特徴が、まさにX世代と重なっている。


 製作の準備が着々と進むなか、ハリウッドのメジャースタジオは難色を示していた。やはりX世代を描いたキャメロン・クロウ監督の『シングルス』(92)の成績がイマひとつだったからだ。しかし脚本を読んだウィノナ・ライダーがリレイナ役を引き受けたことで、ユニバーサルが製作費を出すことを決める。この時期のウィノナは、ティム・バートン、フランシス・フォード・コッポラ、ジム・ジャームッシュ、マーティン・スコセッシら錚々たる名匠の作品への出演が続き、キャリアが絶好調であった。



『リアリティ・バイツ』(c)Photofest / Getty Images


 ウィノナが相手役に希望したイーサン・ホークもトロイ役を快諾。イーサンは『いまを生きる』(89)で注目を集めるも、その後は話題作に恵まれていない状況だった。ヴィッキー役は、監督のスティラーと「ベン・スティラー・ショー」で共演経験のあるジャニーン・ガラファロー。スタジオ側はこの役にグウィネス・パルトロウを望んだが、ウィノナがジャニーンを支持したという。そしてサミー役には、舞台共演という縁でイーサンが紹介したスティーヴ・ザーンが選ばれた。


 キャストという点では、まだ売れる前のレネー・ゼルウィガーが、トロイの一夜の相手で一瞬のシーンに登場。「サタデー・ナイト・ライブ」で有名になったデヴィッド・スペードが、ホットドッグ店の店長でカメオ出演している。リレイナが電話相談する怪しげな霊感的な精神分析医を演じたのは、ベン・スティラーの姉のエイミー・スティラーである。





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