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『17歳のカルテ』永遠を生きるウィノナ・ライダーの自画像 ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『17歳のカルテ』永遠を生きるウィノナ・ライダーの自画像 ※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


『17歳のカルテ』あらすじ

大量なアスピリンとウォッカを飲み病院に担ぎ込まれたスザンナ・ケイセンは、境界性人格障害と診断されて精神病院に入院した。病棟にはさまざまな問題を抱えた娘たちが入院していて、その異様さにスザンナは言葉を失う。管理と束縛の厳しい生活の中、希望を見いだせずにいた彼女だったが、やがて入院患者のボス的な存在であるリサ・ロウと親しくなっていく…。


Index


残酷なくらい正直



 「夢と現実が混乱したことはある?お金があるのに万引きしたり。落ち込んだり。現実と実感がズレていたり。私が異常だったのか?60年代のせいか?ありがちな、ただのつまづきか?」


 『17歳のカルテ』(99)は外の世界を透かす窓のショットから始まる。廃屋と思われる小屋で、スザンナ(ウィノナ・ライダー)とリサ(アンジェリーナ・ジョリー)は外の世界から身を守るように体を寄せ合っている。スザンナの膝の上でリサは涙ぐむ。顔に大きな火傷の跡があるポリー(エリザベス・モス)は何かを叫んでいるが、その声を聞き取ることはできない。床に砕け散ったガラスの破片の中から注射器を手に取るジョージーナ(クレア・デュヴァル)。彼女たちの声にならない悲痛な叫び。窓の外はすべて嘘。中断されてしまった少女(原題『Girl,Interrupted』)。


 「21歳の時に「思春期病棟の少女たち」という本を読んで、猛烈に好きになりました。あんなに残酷くらい正直な本は読んだことがありませんでした。しかも、とてもユーモアのある作品です。登場人物がとても魅力的で、胸が張り裂けそうでした」(ウィノナ・ライダー)*1


『17歳のカルテ』予告


 たった15分~20分の診断で精神病院に入院することになったスザンナ・ケイセン。「思春期病棟の少女たち」には、二年間に渡る精神病院での生活が描かれている。残酷なくらい正直に書かれたこの回想録を読んで、激しく心を揺さぶられたウィノナ・ライダーは、本作のプロデューサーに名乗り出る。スザンナ・ケイセンと同じく、十代で精神病院に入院した経験のある彼女にとって、この製作は自身の十代の影と向き合うような経験だった。それはこの映画の登場人物たちと同じように、自らを傷つけてしまうような経験だったのかもしれない。冒頭のナレーションに倣うかのように、彼女自身キャリアの絶頂期に窃盗の罪を犯すことになってしまう。


 ウィノナ・ライダーにとって「思春期病棟の少女たち」は、十代の頃に出会いたかった本だったという。ウィノナ・ライダーによるウィノナ・ライダーの自画像。スザンナ役が彼女にとって運命的な出会いだったことは、残酷なくらいの正直さをもって描かれた本作を見れば明らかなことだ。ウィノナ・ライダーは精神病院への入院体験を次のように振り返っている。


 「19歳がつらい年齢だということは、誰にとっても言えることだと思うのです」(ウィノナ・ライダー)*1





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