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『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』ワイスピ的ウルトラCを堪能せよ!これは奇跡かご都合主義か⁉※注!ネタバレ含みます。

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『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』ワイスピ的ウルトラCを堪能せよ!これは奇跡かご都合主義か⁉※注!ネタバレ含みます。

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ファン心をくすぐるシリーズネタの数々



 監督交代のゴタゴタが影響したのか、『ファイヤーブースト』のストーリーに一貫した流れや説得力を見出すのは難しい。しかしルテリエは、過去作へのオマージュやファン心をくすぐる小ネタをふんだんに盛り込み、お祭り感を高めながらシリーズ完結へのお膳立てを整えようとしている。見方によってはセルフパロディ的、二次創作的といえるかも知れない。おそらくルテリエは、一ファンとしてのワイスピ愛を武器に走りきる決意をしたのだろう。


 映画の冒頭は、『MEGA MAX』のクライマックスで始まる。リオデジャネイロの街中で、巨大金庫を引きずり回した驚異のカーチェイスが、当時のフッテージと新規撮影した映像を駆使して再現されている。そして今回の敵であるダンテが、実はその場に居合わせていたと明かされる趣向だ。


 2台の車で巨大金庫を引きずっているのはドミニク(ヴィン・ディーゼル)とブライアン(ポール・ウォーカー)。ウォーカーは『ワイルド・スピードSKY MISSION』(15)の撮影中だった2013年に交通事故で亡くなっており、在りし日の活躍する姿が大スクリーンで見られることも、ファンにとっては大きなプレゼントだといっていい。



『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』© Universal Studios. All Rights Reserved.


 そして時代が現代に戻ると、ドミニクが息子のリトル・ブライアンにドリフト走行を教えている。実はこのシーンのロケ地は、一作目でブライアンがドリフト走行の練習をしていたのと同じ、ロサンゼルスのドジャースタジアムの駐車場。22年の歳月の隔たりを、同じ場所で車を走らせることで一気に繋いでいるのである。


 続く場面は、ワイスピ恒例のドムの自宅でのバーベキュー。前作『ジェットブレイク』で復帰したハン(サン・カン)がドミニクと思い出話に花を咲かせ、自分たちのことを「ロス・バンドレロス」と呼ぶ。「ロス・バンドレロス」は第四作『ワイルド・スピードMAX』(09)の前日譚として作られた短編のタイトルで、ドミニクとハンが強盗チームを結成していた時代への目配せでもある。


 宿敵であるはずのサイファー(シャーリーズ・セロン)が大怪我を負ってドミニクの家を訪ねてくる場面では、「1327」と描かれた郵便受けが大写しになる。「1327」はドミニクや妹のミア(ジョーダナ・ブリュースター)が育った家の番地であり、シリーズを通じてドミニクにとってのホームの象徴として登場している数字。郵便受けのアップだけでも「誰かがドミニクの家に?」と気づけるようにできている。


 どこまでがルテリエのアイデアなのかはわからないが、ほかにも『SKY MISSION』(15)を思わせる高速道路チェイスと無謀すれすれのダイブキャッチなど、過去の名シーンを彷彿とさせる描写が多いことは『ファイヤーブースト』の大きな特徴だろう。



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