原作執筆中に売買された映画化権
そもそもの映画化への動きは、ジム・ラヴェル元船長が自らの忘れがたい体験を振り返り、著書にまとめようとしたことで始まった。まだ執筆中の段階から映画化権は売買され、契約成立すると間髪をおかずキャスティングも本格化する。
ここで製作陣は、トム・ハンクスが幼い頃からアポロ計画に夢中で、この企画にも「興味ある」ことを聞きつけた。すかさず脚本を送り、当時最高の波に乗っていたこのキャストを難なく射止めることに成功した。
『アポロ13』(c)Photofest / Getty Images
他にも、ハンクスとは『フォレスト・ガンプ』(94)で共演したゲイリー・シニーズが顔を出したり、ビル・パクストン、ケヴィン・ベーコン、エド・ハリスなどの有名どころがずらり。急ピッチで準備を進めたのが功を奏し、原作本が出版されたその1994年のうちに、晴れて撮影をスタートさせることができた。
一説によると、ケヴィン・ベーコンが演じた役は当初、ブラッド・ピットにも打診されていたようだが、彼は同時期に製作中だった『セブン』(95)に専念するため断っている。こうして選び取った『セブン』が彼の俳優としての大きな転機となったことを考えると、運命とは本当に不思議なものである。