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『ディパーテッド』擬似的な父子関係が織りなす、愛と裏切りの物語 ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『ディパーテッド』擬似的な父子関係が織りなす、愛と裏切りの物語 ※注!ネタバレ含みます

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ネズミの国



 『インファナル・アフェア』の監督・脚本を務めたアラン・マックは、TIME誌のインタビューで「リメイク版には失望した」と語っている(*2)。第79回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞の4部門を受賞し、マーティン・スコセッシにとって初めての(そして現時点では唯一の)オスカー受賞となった作品であるにも関わらず、今日に至るまで彼の最高傑作という評価は与えられていないようだ。


 だが、擬似的な父子関係が織りなす愛と裏切りの物語は、スコセッシの十八番。『ディパーテッド』は、彼の思想と作家性が最も色濃く滲み出た作品の一つと言える。そして筆者は、この作品にはもう一つ<裏テーマ>があると勝手に思っている。彼がMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に対して批判的な立場を取っていることはよく知られているが、エンパイア誌のインタビューではかなり強い調子で反MCUを語っているのだ。


 「あれは映画じゃない。(中略)テーマパークだ。俳優が別の誰かに感情や心理的な体験を伝えようとする映画ではないんだ」(*3)



『ディパーテッド』(c)Photofest / Getty Images


 テーマパークの代名詞といえば、ディズニーランド。そしてマーベル・スタジオは、ウォルト・ディズニー・スタジオの傘下にある。ピクサーを買収して次々と長編アニメーションを発表し、ルーカスフィルムを買収して新たな『スター・ウォーズ』三部作を製作した世界最大級の映画スタジオは、スコセッシの言葉を引用するなら「テーマパーク」的なコンテンツ・ホルダーなのだ。


 そう考えると、密告者をネズミと呼び、裏切りが裏切りを呼ぶ<信頼が失墜したアメリカ>をネズミの国と揶揄する本作において、本当にネズミが表象するものは何かは、自明の理なのではないか。しかも本作のラストシーンに登場するネズミは、明らかにCGで作られたものだ。


 あまりにも強大なネズミの国に対する、最後の抵抗。そんなパンク・スピリットが、『ディパーテッド』には息づいているような気がしてならない。



(*1)https://www.filmink.com.au/rewind-the-making-of-martin-scorseses-the-departed/

(*2)https://www.imdb.com/title/tt0407887/trivia/?ref_=tt_trv_trv

(*3)https://www.empireonline.com/movies/features/irishman-week-martin-scorsese-interview/



文:竹島ルイ

映画・音楽・TVを主戦場とする、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」(http://popmaster.jp/)主宰。



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