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『プリティ・リーグ』ペニー・マーシャルが描く女子だけの野球リーグ

(c)Photofest / Getty Images

『プリティ・リーグ』ペニー・マーシャルが描く女子だけの野球リーグ

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女性たちの力を見せつけたリーグ



 AAGPBLは11年間続き、多くの女性選手が活躍した。当時の大統領だったルーズベルトが「ぜひ、(戦時中も)野球を続けてほしい」という意向を持っていたので、こうした女子リーグが誕生することになったという。その結果、菓子メーカーのP.K.リグレーが女子野球を始めることになった。


 農家出身の女子選手も多かったため、礼儀作法を特訓する時間も設けられた(この部分は映画の中でも描かれている)。また、実際のチームではスラックス姿やメイクなしでの外出、飲酒やたばこに対しても罰金があっという。また、リーグのスポンサーの意向で丈の短いスカートがユニフォームとなったが、その結果、<ストロベリーの傷>と呼ばれるアザのある負傷者も続出した。給料は週給で55ドルから150ドルが支払われていた(映画では週休75ドルとなっている)。


 それまで男性のスポーツと考えられていたプロ野球への女子の参入に対しては、さまざまな意見もあったが、第2シーズンとなると全米で25万人のファンがついていたという。ただ、結婚している女性の場合、夫との結婚生活を優先するため、途中で退団する選手もかなりいたようだ。



『プリティ・リーグ』(c)Photofest / Getty Images


 映画そのものは明るいトーンで貫かれているが、悲痛な場面も用意される。夫が戦死すると電報がやってきて、監督が女子選手にそれを知らせる。物語の舞台が戦時中であることを実感させられる場面となっている。ヒロイン、ドティの夫も戦地にいるという設定だ。男たちが戦地で戦っている間、女たちは野球場で闘いぬくことで、野球というアメリカの伝統芸を守りぬこうとしている。


 さまざまな事情を抱えた女子選手もいて、マドンナが演じるメイはクラブのダンサーで安いギャラしか稼いでいなかったようだ。野球で失敗すると、以前のみじめな生活に逆戻りになるので、必死に戦うしかない。そんなキャラクター設定は歌手として成功する前のマドンナを思わせる(歌手を夢見てニューヨークに出てきた頃のマドンナは、貧乏な暮らしを続けながら必死に成功の階段を上ろうとしていたからだ)。マドンナはメンバーたちがクラブに乗り込む場面で、スイングジャズ風の音楽に乗ってダンスも披露。また、エンディングテーマ曲「マイ・プレイグラウンド」も歌っている。地味だが、しっとりした曲調でドラマをうまくしめくくっている。





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