あらすじ⑥
ニックスは三人を、かつてフランクが発明したという“モニター”(巨大な尖塔の横に球体が浮いている形状)(*2)に案内し、浮遊する円盤に搭乗して球体の中に入って行く。ニックスはケイシーに、「このモニターは超光速粒子タキオンを捕らえ、過去でも未来でも見ることを可能にしている」と説明する。機械の構造を一瞬で理解してしまうケイシーは、今度もすぐにモニターの操作方法を理解した。そして、自分が解体工事を妨害していた、ケネディ宇宙センターの第39A発射台の未来を確認する。すると、それは次々と壊されていくが、ある時点で画面全体に激しいノイズが入ってしまう。
ケイシーがさらに時間を進めると、核攻撃や暴動、各種の自然災害などによって、世界が崩壊していく様子が映し出される。フランクは、それが「58日後に起きる現実だ」と伝える。ケイシーは、「なぜ人々をトゥモローランドに移住させないの?」と質問するが、ニックスは「あの野蛮な連中を招けば、ここもまた地球同様になるだけだ」と答える。ケイシーが「まだ悲劇は始まっていない。私は認めないからね!」と反論すると、モニターに破滅を逃れた世界の映像が一瞬だけ表示される。フランクはニックスに確認を促したが、ニックスは彼を眠らせてしまう。
『トゥモローランド』(c)Photofest / Getty Images
目を覚ましたフランクは、そばで塞ぎ込んでいるケイシーに気付く。彼女は、「なぜ真実を知りながら、自分の頭にウソの映像を送り込んだの!」と怒っていたが、そのことから「あのモニターは、地球の人々に悲観的な未来のイメージを送り続けていたのよ!」と気付く。三人は、ニックスにそのことを報告するが、彼はまったく反応しない。なぜならニックスが、意図的にやっていたことだったからだ。
彼は、「人々の脳に、世界の終焉が近いというイメージを伝えれば、危機感を持って対処するだろうと考えた。しかし実際は逆で、彼らは滅亡の予感を貪り食い、映画やゲームなどで消費するだけだった。人類は良い未来を作るための行動を起こさず、単に諦めたんだ。悪いのはモニターじゃない。人間だよ」と言って、三人を地球の無人島へ追放しようとする。
*2 劇中に登場するモニターの外観は、1939年の「ニューヨーク世界博」のテーマパビリオンである、「トライロン&ペリスフィア」の形状がモチーフになっている。