最近、「大阪・関西万博」が(色んな意味で)話題になっている。そこで今回は、博覧会をテーマとした作品として、『トゥモローランド』(15)を選んでみた。すでに観た人は、「えっ、そうなの?」と思われる人も少なくないだろうが、この映画には博覧会に関する様々なモチーフが散りばめられているのだ。
Index
- あらすじ①
- ディズニー・テーマパークのアトラクションの映画化
- 「ニューヨーク世界博」と「ディズニーランド」の関係
- 博覧会場を映像化する困難さ
- あらすじ②
- オプティミスティックだった「ニューヨーク世界博」
- あらすじ③
- オーディオ・アニマトロニクス
- あらすじ④
- ペシミスティックな未来感
あらすじ①
11歳の少年フランク(トーマス・ロビンソン)は、一人でフラッシング・メドウズ・コロナ・パークに向かい、「ニューヨーク世界博」の会場を訪れる。彼の目的は、自分が開発したジェットパックを発明コンテストに出品することだった。受付の男ニックス(ヒュー・ローリー)は、「実験は失敗しました」というフランクの話を聞き、エントリーすらさせない。だが、そのやり取りを聞いていた少女のアテナ(ラフィー・キャシディ)は、フランクに小さなピンバッジを渡し、「こっそりと自分たちを追って来るように」と伝える。
ニックスやアテナたちは、「イッツ・ア・スモールワールド」のボート型ライドに乗った。フランクも後続のボートに乗ると、バッジが認証されて、地下の水路に運ばれてしまう。そこからトランスポーターという謎の乗り物に搭乗すると、いきなり雲の上の空中プラットホームに着く。そこから落下したフランクは、自分のジェットパックで体制を整え、遥かにテクノロジーの進んだ未来都市に来ていることを知る。彼が着陸すると、そこには先ほどのニックスとアテナがいた。
『トゥモローランド』予告
ディズニー・テーマパークのアトラクションの映画化
これまでディズニーは、テーマパークのアトラクションを実写映画化するプロジェクトを積極的に行って来た。例えば、
「カントリーベア・シアター」⇒『カントリー・ベアーズ』(02)
「ホーンテッドマンション」⇒『ホーンテッドマンション』(03/23)
「カリブの海賊」⇒『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(03/06/07/11/17)
「ジャングルクルーズ」⇒『ジャングル・クルーズ』(21)
といった具合である。
そんな中で、「トゥモローランド」と呼ばれるエリア自体を題材とした映画が、2010年から企画される。トゥモローランド・エリアは、アナハイムに「ディズニーランド」(現ディズニーランド・パーク)が誕生した1955年から存在するが、単体として映画の題材になりそうなアトラクションが見当たらない。
なぜなら、背景となるストーリー性が希薄だったり、あったとしても初期の人気アトラクション「20,000 Leagues Under the Sea(海底2万マイル)」や、二世代目が運用中の「スターツアーズ」(現 スター・ツアーズ: ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー)のように、映画の方が先行している場合がほとんどだ。かつては「キャプテンEO」という例外もあったが、これはマイケル・ジャクソン抜きでは成り立たない。