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『トゥモローランド』博覧会から紐解くディズニーランドのルーツ(前編)

(c)Photofest / Getty Images

『トゥモローランド』博覧会から紐解くディズニーランドのルーツ(前編)

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オプティミスティックだった「ニューヨーク世界博」



 「ニューヨーク世界博」で最高人気だったアトラクションは、ゼネラルモーターズ館の「フューチュラマII」(*3)である。ライドに乗った観客が、未来世界を想定して作られた精巧な動くジオラマを鑑賞していくというもので、月面、南極、海底、砂漠、ジャングルなど、六つの世界を開発して、都市化するというコンセプトだった。ここには環境悪化や人種問題、食料や資源の枯渇、国家間の対立などといった不安要素が一切描写されず、ひたすら楽天的な明るい未来世界が造形されていた。



 この「フューチュラマII」的な雰囲気を映像で表現したのが、ケイシーが体験する未来世界で、おそらく監督となったブラッド・バードが、最も情熱を注いだシーンだと考えられる。また、「ニューヨーク世界博」の会場内を走っていた高架式乗り物「マジック・スカイウェイ」は、1967年にディズニーランドへ移設されて「ピープルムーバー」となった。この空中を走る鉄道のイメージも、本作の未来描写に反映されている。この世界感こそ、当初ウォルトがEPCOTで実現させたかったものだろう。だが、こういったオプティミスティックな雰囲気から、徐々に作品のトーンが変化していく。


*3 「フューチュラマII」となっているのは、1939年の「ニューヨーク世界博:ゼネラルモーターズ館」に出展された「フューチュラマ」の続編的アトラクションだったからだ。ちなみに「フューチュラマII」は、1970年の「日本万国博:三菱未来館」の原型にもなっている。


あらすじ③



 ケイシーはeBayで、同じデザインのバッジ(*4)を買い取っているSFショップ「Blast from the Past」を見付け、話を聞きに出かける。翌日、アテナはケイシーを訪ねて来るが、彼女はもう家を出た後だった。「Blast from the Past」の店主夫妻は、ケイシーに「バッジで見た風景は、プルス・ウルトラ(*5)と称する天才たちが開発した、実在の世界だ」と話すが、代わりにアテナの居所を詰問される。ケイシーが知らないと答えると、夫妻はいきなり光線銃で攻撃してきた。彼女が殺されそうになった寸前に、アテナが部分的に時間を止めて救い出す。店主夫妻はアテナに首をもがれ、自爆して店ごと吹き飛ばした。



『トゥモローランド』(c)Photofest / Getty Images


 アテナは車を盗み、ケイシーを乗せて現場から立ち去った。アテナは、「店主夫妻や自分は、人間そっくりのロボット“AA(オーディオ・アニマトロニクス)”なの」と説明する。おびえたケイシーが車から逃げ出すと、追って来たアテナがトラックに跳ねられる。ケイシーがそのトラックを奪って逃走すると、アテナは『ターミネーター2』(91)のT-1000のように追って来る。そして乗り込んできたアテナは、バッジの意味をケイシーに教え、「必ずあの世界に連れて行く」と約束する。一方、「Blast from the Past」の現場検証を行っていた警官たちの前に、謎の集団が現れ、「現場は我々が引き継ぐ」と言うや否や、警官たちを文字通り消してしまった。


*4 劇中では「1964年のニューヨーク世界博のバッジ」と語られているが、もちろん映画用にデザインされた架空のバッジだ。


*5 このプルス・ウルトラのバックストーリーに関しては、ピクサー・アニメーション・スタジオが短編アニメーションを制作しており、「“あの世界”が作られた背景に万博が関係していた」と明確に語られている。この映像は、少年時代のフランクが「イッツ・ア・スモールワールド」の地下水路を運ばれるシーンに使用される予定だったが、最終的にカットされた。現在は『トゥモローランド』のBlu-rayやDVDの特典映像として観られる。



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