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『ニア・ダーク/月夜の出来事』B級というなかれ!剛腕監督キャスリン・ビグローの原点

(c)Photofest / Getty Images

『ニア・ダーク/月夜の出来事』B級というなかれ!剛腕監督キャスリン・ビグローの原点

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埋もれた怪作から、must-see作品へ!



 ビグローが趣向を凝らして完成させた『ニア・ダーク/月夜の出来事』は1987年10月に全米公開されたが、残念ながらヒットには至らなかった。完成直後に製作会社が倒産し、十分な配給と宣伝がなされたことも不幸だったが、同年の夏に公開された吸血鬼映画『ロストボーイ』が大ヒットした直後だったこともタイミング的に災いした。余談だが、本作に出演した子役のジョシュア・ミラーと『ロストボーイ』に主演したジェイソン・パトリックは異母兄弟だ。


 とはいえ、面白い映画には確実にファンが付く。翌年のパリ国際ファンタスティック&SF映画祭ではグランプリ、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で準グランプリを受賞したことから本作は評価を高めていき、劇場公開後のソフト化によって人気を広げていく。ホラーの鬼才ジョン・カーペンターは古典『吸血鬼ドラキュラ』(58)とともに、本作をお気に入りのヴァンパイアムービーに挙げており、そこから発想を得て西部劇スタイルの吸血鬼映画『ヴァンパイア/最後の聖戦』(98)を生み出した。


 ビグローの以後の出世物語は、映画ファンには説明するまでもないだろう。力作『デトロイト』(17)以後、新作が途絶えており、スリラー作品を企画中というニュースも伝え聞くが実現できるかどうかは定かではない。とりあえず、彼女の原点である本作を見直しつつ、ハリウッドに風穴を開けるような強力な新作を待つとしよう。



取材・文:相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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