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『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』民主主義の終焉を描く政治劇

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』民主主義の終焉を描く政治劇

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怒涛のクライマックス



 思えば前作『ファントム・メナス』のクライマックスでは、4つの戦いが同時並行で描かれていた。


①大量のバトル・ドロイドと戦うジャー・ジャー・ビンクスらグンガン族

②スターファイターで空中戦を繰り広げるアナキン・スカイウォーカー

③ダース・モールとライトセーバーを交えるクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービ

④ナブーの宮廷を奪還しようとするアミダラたち


 だが『クローンの攻撃』ではクロス・カッティングを放棄して、一直線に物語を進めていく。『スター・ウォーズ』シリーズのなかでも、本作のクライマックスのボリュームはケタ違いだ。分離主義勢力陣営に囚われたオビ=ワン・ケノービを救出しようと、砂漠の惑星ジオノーシスに向かうアナキンとパドメ。そこからおよそ40分、息をつく暇もなく、様々なアイディアに溢れたアクションが展開される。


①ドロイド工場への潜入

②処刑されそうになるオビ=ワンたち

③ジェダイとドロイド軍との戦闘

④オビ・ワン&アナキン vs. ドゥークー伯爵の対決

⑤ヨーダ vs. ドゥークー伯爵の対決


 ①のドロイド工場のシークエンスは、オリジナル脚本にはないものだった。アナキンとパドメはジオノーシスに到着するとすぐに捕らえられ、②のシークエンスに直結するはずだったのだが、ルーカスが「このままではややテンポに欠ける」という判断を下し、急遽アクションを追加したのである。盟友スティーヴン・スピルバーグの『マイノリティ・リポート』(02)でも、主人公のトム・クルーズが無人自動車工場に逃げこむシーンがあったが、同趣の面白さに満ちている。



『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(C)2024 Lucasfilm Ltd.


 ②では、コロッセオのような闘技場で公開処刑されそうになるオビ=ワンたちが、知恵と機転を利かせてなんとか窮地を脱出。メイス・ウィンドゥをはじめジェダイたちが集結し、ジェダイ軍とドロイド軍の集団戦が始まる。普通であればここで終幕を迎えても十分お腹いっぱいなのだが、ここから④のオビ・ワン&アナキン vs. ドゥークー伯爵のライトセーバー対決も待っているのだから、たまらない。


 圧倒的なパワーでオビ・ワンもアナキンも蹴散らすドゥークー伯爵。すると今度はマスター・ヨーダが現れ、銀河最強とも謳われたその剣技を振るう。何重にも詰め込まれたアクションの質と量によって、ジョージ・ルーカスは最高のエンターテインメントを提供する。


 アナキンとパドメのロマンスの不評がたたってか、『クローンの攻撃』はシリーズの中でも人気が低い。エスクァイアUS版が行ったシリーズ9作品+スピンオフ2作品の全11作品のランキング(*2)では、最下位の11位に沈んでいる。だが筆者個人としては、アクション・エンターテインメントに徹しようとするルーカスの情熱が最も感じられるのが、この作品。自分、断固エピソード2推しです。


 そして本作には、もうひとつの顔がある。民主主義の終焉を描く政治劇としての顔だ。





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