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『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』エディプス・コンプレックスの克服を巡る最終章

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』エディプス・コンプレックスの克服を巡る最終章

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『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』あらすじ

帝国軍がより強力な第2デス・スターの建造を進める中、反乱軍の艦隊は総力を結集し、その巨大な宇宙ステーションに攻撃への攻撃準備を計画していた。一方、ルーク・スカイウォーカーは、ダース・ベイダーとの最後の戦いに臨む。


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第一候補だったスピルバーグ



 スティーヴン・スピルバーグ、ポール・バーホーベン、デヴィッド・リンチ、デヴィッド・クローネンバーグ。錚々たるビッグ・ネームばかりだが、彼らは皆『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(83)の監督候補として名前が挙がったフィルムメイカーだ。


 特にスピルバーグは、ジョージ・ルーカスにとって旧3部作(オリジナル・トリロジー)完結編を迎えるにふさわしい第一候補だった。仲間内で『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)の試写を行ったとき、その先進的すぎるスタイルに皆が戸惑いを見せるなか、ただ一人スティーヴン・スピルバーグだけが「こいつは史上最大の映画になるぞ!」と大絶賛。『スター・ウォーズ』の作曲家にジョン・ウィリアムズを推薦したのも、『ジョーズ』(75)でその才能に感銘を受けたスピルバーグである。


 だが、アメリカ監督組合(DGA)がスピルバーグの参加を許さなかった。『スター・ウォーズ』の代名詞といえば、「遠い昔 はるかかなたの銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away....)」で始まる独特なオープニングクロール。バックストーリーを説明するテキストが画面上方に向かって消えていくスタイルで、スタッフのクレジットは一切流れない。だが本来、主要スタッフは冒頭から表記するのがアメリカ映画の流儀。


 おそらくこれだけの大ヒット作品になるとは思っていなかったこともあって、DGAはイレギュラーなオープニングを許可したものの、続編の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(80)ではオープニング・クレジットの使用を求める。もちろんルーカスは、オープニングクロールを崩したくない。罰金を払ってなんとか事を収めたものの、頭に来たルーカスはDGAから脱退してしまう。当時DGAに加入していたスピルバーグが、『ジェダイの帰還』の監督を務めることは困難になってしまった。歴史を回想するときには「If もしも」がつきものだが、いち映画ファンとしては、「もしスピルバーグが『スター・ウォーズ』を監督していたら?」と夢想せずにはいられない。


 そのスピルバーグが『ジェダイの帰還』の監督に推薦したのが、ポール・バーホーベン。戦争ドラマ巨編『女王陛下の戦士』(77)を観て、彼はその才能を高く評価していた。だが『SPETTERS/スペッターズ』(80)を観るなり、その提案を取り下げる。あまりにもお下品でお下劣な内容に、「『スター・ウォーズ』の監督には不適切」と思い直したのだろう。


 後年バーホーベンは、「ジェダイたちがすぐ発情してしまうような映画になると思ったんだろうね」と冗談めかして語っているが、もし本当に彼が『ジェダイの帰還』を演出していたら、『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)のような異形の傑作になっていたかも。いや、そんな可能性は1ミリもないんですが。




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