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『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』エディプス・コンプレックスの克服を巡る最終章

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』エディプス・コンプレックスの克服を巡る最終章

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ふたりの“デヴィッド”



 ルーカスが次に目をつけたのが、デヴィッド・リンチ。『イレイザーヘッド』(76)という風変わりな実験映画で頭角を現し、『エレファント・マン』(80)で作品賞を含む8部門でアカデミー賞にノミネートされた実績を持つ奇才。作品に登場するクリーチャーの造形をみれば、彼が特殊効果に長けていることも明らかだった。だが、リンチ曰く『ジェダイの帰還』に対して「関心はゼロ」。ルーカスに招かれて映画の説明を受けていたときも、「頭が痛くなってきた」と語っている。


「家に帰る前に、電話ボックスにもぐりこんで、エージェントに電話して言ったんだ!“こんなことできるわけがない!”ってね。(中略)翌日、ジョージに電話で“君が監督すべきだ”と伝えた。彼の映画だし、彼がすべてを考案したんだ。でも、ジョージは監督業が好きではなかった。だから他の人が監督したんだ。私は弁護士に電話して、“監督をするつもりはない”と伝えたよ。彼は、“君は何百万ドル失ったかわからないよ”って言ったけどね」(*1)


 リンチがダメなら、もう一人の“デヴィッド”だ!ということで、今度はデヴィッド・クローネンバーグに白羽の矢が立つ。超能力者たちによる壮烈なサイキック・ウォーズを描いた『スキャナーズ』(81)で、彼はカルト的な人気を得ていた。だが彼は、監督打診の電話に「私は他人の素材を演出することには慣れていません」とスゲなく答え(本人は若さゆえの傲慢さだったと語っている)、あっさりその申し出を断ってしまう。すでに確立されたシリーズに関与することに、クローネンバーグはクリエイティブ上の魅力を見出せなかったのだ。


「主要人物のキャスティングは決まっていて、ルックも、トーンも、人々の期待も、すべて決まっている。創造性に関与できない。だから、クリエイティブ・ディレクターというよりは、交通整理に近い。だから私には興味がなかった」(*2)


『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』予告


 最終的に『ジェダイの帰還』の監督の座を射止めたのは、ウェールズ出身のリチャード・マーカンド。第二次世界大戦下を舞台に繰り広げられるスパイ・サスペンス映画『針の眼』(81)が、ジョージ・ルーカスの目に止まったことで、運命の歯車が大きく回り出す。プロデューサーのハワード・カザンジアンを通じて、彼は監督候補のリストにどんな名前があるかを知っていた。


「たくさんの名前があった。そして、その数は徐々に減り、私とアメリカ人監督だけになった。そのとき私はこの仕事に就かなければならないと悟り、この仕事を本当に大切に思うようになったんだ」(*3)




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