2024.05.05
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』あらすじ
帝国軍から攻撃を受け、反乱軍は氷の惑星ホスから撤退。ハン・ソロとレイア姫は帝国軍から追われる。一方ルークは、ジェダイ・マスターのヨーダのもとで修業を積む。しかしダース・ベイダーと対峙したルークは、自らの出生について衝撃の事実を知ることになる…。
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業界が見過ごしてきた才能、アーヴィン・カーシュナー
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)で歴史的成功をおさめたジョージ・ルーカスが、その続編を制作するにあたって心に決めていたのは、「自分は監督しない」ことだったという。考えてみれば、自分が生み出した偉大なるサーガを人の手に委ねるというのは、一人のクリエイターとして非常に奇妙なこと。それだけ彼は、一作目で疲労困憊していたのである。
非常に内向的な性格で、役者に対する演技指導も苦手。スーパーシャイなルーカスにとって、監督業に戻ることはありえないことだったのだろう。第二作『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(80)では製作総指揮にまわり、具体的なプロデュース業も盟友ゲイリー・カーツに一任。家族との時間を楽しみつつ、自身が設立した特撮工房インダストリアル・ライト&マジック(ILM)のさらなる拡大と、カリフォルニアに巨大スタジオのスカイウォーカーランチを設立することに専念する…。それが、彼が描いていた青写真だった。さっそくルーカスは、映画監督のアーヴィン・カーシュナーにコンタクトをとる。
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(C)2024 Lucasfilm Ltd.
「ある運命的な日、ジョージ・ルーカスから電話をもらった。テニス仲間だったから、その誘いかと思ったよ。あるいは相談事かと。だが違った。彼は“ユニバーサルで昼食を”と誘い、私は承諾して撮影所へ行った。一緒においしい昼食をとったよ。やがて彼は言った。“カーシュ、『スター・ウォーズ』の続編の監督を頼む”。シーンと静まり返ったよ。私は彼を見てこう言った…“イカれたのか?”と」(*1)
『帝国の逆襲』の監督に指名された日のことを、カーシュナーはそう回想している。まさに青天の霹靂。一度はそのオファーを固辞するが、周りからのとりなしもあり、最終的に世界的大ヒットを飛ばしたスペースオペラの第二弾を手がけることになる。
チャールズ・ブロンソン、ショーン・コネリー、ロバート・ショウ、バーブラ・ストライサンドといったスターを主演に迎えて、数々の娯楽作品を撮り続けてきたベテラン監督とはいえ、彼は決して知名度の高いフィルムメイカーではなかった。だがジョージ・ルーカスにとってカーシュナーは、南カリフォルニア大学で学んでいたときの講師であり、映画作りについて様々な助言を与えてくれたメンター的存在。ルーカスは“業界が見過ごしてきた大きな才能”と高く評価し、三顧の礼をもって『スター・ウォーズ』の世界に招き入れたのである。
「信頼できる人、本当に尊敬できる人、成熟したユーモアのある人が必要だった。それがカーシュナーだったんだ。『帝国の逆襲』を単なる続編、スペース・アドベンチャー・シリーズの1エピソードにしたくなかった。私は何かを作り上げようとしていたし、カーシュナーはその手助けをしてくれる人だとわかっていた。彼は多くのものをもたらしてくれたよ。彼には本当に感謝している」(*2)