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『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』父と子の物語として構築された偉大なる続編

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』父と子の物語として構築された偉大なる続編

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巨大なインディーズ映画



 ジョージ・ルーカスは、『スター・ウォーズ』のフランチャイズ権で得た収益を元に、銀行からの融資と組み合わせて製作資金を自己調達している。20世紀フォックスから資金提供を受けない代わりに、誰からも侵犯されないクリエイティブの自由を手に入れたのだ。ある意味で『スター・ウォーズ』とは、ルーカスによる巨大なインディーズ映画といえる。


 だが実際に撮影に入ると、スケジュールは大幅に遅れ、予算も雪だるま式に超過していく。銀行からの融資もキャンセルされてしまう事態に陥り、ルーカスは資金繰りに奔走した。なんとか別の銀行から新しくローンを組み直すことができても、また予算オーバーの繰り返し。彼はこう述懐している。


 「『帝国の逆襲』の撮影を担当したのは素晴らしいカメラマンだったが、照明に時間がかかったね。1作目は1,300万ドルという超低予算映画で、撮影は一晩で済ませていた。だが2作目はその3倍の費用がかかり、撮影にもかなり時間がかかってしまった。それでも低予算で済むと思ったが、そうはならなかった。幸いにも成功して、私はお金を取り戻したけどね」(*4)


 その一方でルーカスは、アーヴィン・カーシュナーが自由に撮影ができる環境を整えられるように腐心していた。創造主たる自分の存在が邪魔にならないように、気を配ったのである。



『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(C)2024 Lucasfilm Ltd.


 「ジョージはこれまで一緒に仕事をした中で、最高のプロデューサーだったよ。彼は私を放っておいて、何度かイギリスに来ただけだった。ある時私はジョージに、“誰のせいでもないけれど、あまりに複雑なためにスケジュールが遅れている”と言った。セットで行われる特殊効果の多くは、まったく機能しないことが多かったんだ。彼の答えは“今やっていることを続けろ。撮り続けるんだ”。これは監督にとって、プロデューサーから聞いた最高の言葉だったね」(*5)


 だがプロデューサーを務めたゲイリー・カーツは、ルーカスはコントロール・フリークの一面があると明言している。


 「彼は任せるのが苦手だったんだろうね。彼はすべてをコントロールしたがることもあれば、どこかへ行ってしまい、長い間連絡が取れなくなることもあった」(*6)


 『スター・ウォーズ』において、ルーカスの発言は神の一言にも等しい。どこまで自分がこのフランチャイズを支配すべきなのか、支配せざるべきなのか。自ら招いた“師”にどこまで口出しすべきなのか。ひとつ間違ってしまえば、彼自身が支配欲に取り憑かれ、ダークサイドに堕ち、ダース・ベイダーとなってしまう。


 ルーカスの心情を窺い知ることはできないが、少なくとも表面的にはアーヴィン・カーシュナーにクリエイティブの自由を保証することで、彼はジェダイのままでいられたのかもしれない。ダークサイドは物語のなかだけではなく、ルーカスの内面にも侵食しようとしていたはずなのだから。


(*1)「巨匠たちとの対談」(2010年)

(*2)https://www.today.com/popculture/george-lucas-mourns-his-mentor-empires-irvin-kershner-wbna40422602

(*3)https://screenrant.com/star-wars-george-lucas-empire-strikes-back-fears/

(*4)https://www.empireonline.com/movies/features/george-lucas-the-empire-strikes-back-interview/

(*5)https://www.vanityfair.com/hollywood/2010/10/irvin-kershner

(*6)https://www.ign.com/articles/2002/11/11/an-interview-with-gary-kurtz



文:竹島ルイ

映画・音楽・TVを主戦場とする、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」(http://popmaster.jp/)主宰。



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