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『プレデター』誕生から30年超、今も熱狂的に支持されるモンスターはいかにして産み落とされたのか?
『プレデター』シリーズで発展・深化していくモンスターの個性
『プレデター』では主人公のダッチがプレデターの宇宙船内に入り込み、人間のはく製に出会うというシーンもあったというが最終的に撮影されなかった。しかしこのアイデアは次作『 プレデター2』(90)で実現する。主人公の刑事(ダニー・グローバー)はラストで宇宙船内に迷い込むが、そこで人間をはじめ、数々の奇怪な生物の骨のオブジェを発見する。そこにはなんとあの『 エイリアン』の骨も飾られている。美術担当のシャレだったとも言われるが、これがファンの間で話題を呼び、エイリアンとプレデターが戦うコミックやゲームが登場、後の映画『 エイリアンVSプレデター』につながっていくことになる。このような『プレデター』ユニバースの拡張が、プレデターというモンスターの魅力をさらに発展・深化させていくことになる。
『プレデター』関連シリーズは今年9月公開の最新作も含めると・・・『プレデター』(87)『プレデター2』(90)『エイリアンVSプレデター』(04)『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター』(06)『 プレデターズ』(10)『 ザ・プレデター』(18)という6作がある。プレデターはこれらの作品ごとに、様々な設定が加わり、その生態、文化が深く掘り下げられてきた。『2』では牛肉を好むという食の嗜好が判明し、新たな武器も多数登場。さらにラストにデザインの異なる複数のプレデターが登場することで、マスクや装備も個性があることが示された。『エイリアンVSプレデター』では、プレデターが通過儀礼としてエイリアン狩りをしていた(しかも古代の人類にピラミッドを作らせていた)という文化を描き、『AVP2』ではザ・クリーナーと呼ばれる重装備プレデターが登場、ファンを小躍りさせた。作品ごとに新たな特徴を持ったプレデターが登場することはお約束となり、次はどんなプレデターと出会えるのかと、ファンは劇場に足を運ぶ。かように発展・深化し続けるという個性こそがプレデターの魅力を支える最大の要因なのかも知れない。
『ザ・プレデター』予告
9月公開の最新作『ザ・プレデター』で新たなプレデターのデザインを担当したマーティン・ホイストはスタン・ウィンストンが作り上げた初代プレデターのデザインと個性に敬意を払いながら、むやみに変えるのではなく進化させたと語っている。
モンスターとして類まれなる個性を備えたプレデターはファンだけでなく、映画制作者にも深く愛され、新たな作品を作り出す原動力となっているに違いない。
参考)
『プレデター』ブルーレイ、ジョン・マクティアナン監督による音声解説
文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)など。現在、ある著名マンガ家のドキュメンタリーを企画中。
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※2018年9月記事掲載時の情報です。