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『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』少年の心を抱いたまま大人になった天才作曲家の回顧録

(C)2024 & TM Lucasfilm LM

『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』少年の心を抱いたまま大人になった天才作曲家の回顧録

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『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』あらすじ

数十年にわたるキャリアを通して、ジョン・ウィリアムズが生み出した記憶に残る名曲は、人々に愛され続ける映画に欠かせないものとなっている。映画製作者やミュージシャン、そして彼に影響を受けた人たちの思いとともに、ジョン・ウィリアムズ自身の物語を見てみよう。映画史の成り立ちに焦点を当てた貴重な舞台裏も満載。


Index


遂に実現した、偉大なるマエストロの回顧録



 2023年9月5日。普段は着ることのないタキシードに身を包み、いささか緊張した面持ちで、筆者はサントリーホールまでいそいそと出かけた。お目当ては、映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズ。伝説のマエストロが30年ぶりに来日して、『スター・ウォーズ』(77)や『スーパーマン』(78)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)を披露してくれるとあれば、是が非でも駆けつけるしかない。子供の頃から聴き続けてきた名曲の数々に生で触れ、感激に打ち震えたのである。


 印象的だったのが、曲が始まる前に「(次の曲は)インディ・ジョーンズですよ」「ダース・ベイダーのテーマですよ」と、マイクも使わず聴衆に語りかけていたこと。気取らない人柄というか、チャーミングというか。何気ないファンサの一つ一つに、彼の優しい人柄が伺える。スピルバーグも「上品だが気さくで温かい人」と評しているくらいだから、根っからの人格者なのだろう。


 そして彼は、決して表に出るタイプではない。マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』(76)、ブライアン・デ・パルマ監督の『スカーフェイス』(83)、ロバート・ゼメキス監督の 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』(97)など、錚々たる映画のメイキング・フィルムを手がけてきたローラン・ブーズローは、ジョン・ウィリアムズの密着ドキュメンタリーを作らせてほしいと、長年にわたって交渉し続けてきた。そのたびに偉大なるマエストロは、謙虚な態度でその申し出を断ってきたという。「誰も僕の人生になんて興味ないよ」(*1)。それが彼のシンプルな理由だった。


『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』予告


 粘り強い交渉がようやく実を結んだのは、2022年6月、ジョン・F・ケネディ・センターで開催されたガラ・イベントでのこと。ジョン・ウィリアムズの功績を称えるこの催しには、盟友スティーヴン・スピルバーグも出席していた。これが好機とばかりにローラン・ブーズローはスピルバーグにプロジェクトの構想を伝え、彼を通して遂にジョン・ウィリアムズの同意を取り付けたのである。


 当時彼は、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(23)をもって映画音楽の作曲から引退することを宣言(後にこの発言を撤回)。90歳という大台を迎え、キャリアの締めくくりとして、自らのドキュメンタリー映画を制作することを承諾したのだろう。かくして、グラミー賞25回、アカデミー賞5回、英国アカデミー賞7回、ゴールデングローブ賞4回受賞という、偉大な足跡を振り返るドキュメンタリー作品『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』(24)が完成する。


 スティーヴン・スピルバーグが半自伝的映画『フェイブルマンズ』(22)を発表した後に、ジョン・ウィリアムズの回顧録が発表されたことは、非常に感慨深い。




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