1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ヒズ・ガール・フライデー
  4. 『ヒズ・ガール・フライデー』映画『バービー』にも影響を与えたスクリューボール・コメディの金字塔 ※注!ネタバレ含みます
『ヒズ・ガール・フライデー』映画『バービー』にも影響を与えたスクリューボール・コメディの金字塔 ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『ヒズ・ガール・フライデー』映画『バービー』にも影響を与えたスクリューボール・コメディの金字塔 ※注!ネタバレ含みます

PAGES


※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。



『ヒズ・ガール・フライデー』あらすじ

ニューヨークの新聞会社で働くウォルター(ケーリー・グラント)は、どんな手を使ってでも記事をものにする悪名高き編集長。元妻で部下のヒルディ(ロザリンド・ラッセル)が、別の男性と再婚し会社をやめるつもりと知ったウォルターは、あの手この手で引き留めようと画策するが、彼の手口を知り尽くした彼女に作戦は通じない。せめて最後の仕事だけでも、と記事の執筆を懇願されたヒルディは、仕方なくある死刑囚のもとを訪ねるが、その直後死刑囚が脱走し、大騒ぎに。


Index


スクリューボール・コメディの金字塔



 スクリューボール・コメディとは何か、という問いに対し、「『ヒズ・ガール・フライデー』を見よ」という以上に、わかりやすい答えはない。高速の変化球(スクリューボール)のごとく、風変わりな人々が次々に事件を巻き起こし素早いテンポで会話がなされていく映画、と一応は説明できる。けれどどんな説明より、ハワード・ホークスが1940年に監督した『ヒズ・ガール・フライデー』を見れば、スクリューボール・コメディを理解するには十分だ。


『ヒズ・ガール・フライデー』予告


 もちろんこのジャンルを語るうえで、1934年に作られた『或る夜の出来事』(監督:フランク・キャプラ)の存在やエルンスト・ルビッチの活躍を忘れてはいけないし、ハワード・ホークス自身、すでに『特急二十世紀』(34)、『赤ちゃん教育』(38)といった作品群によってこのジャンルでの成功を収めている。とはいえ『ヒズ・ガール・フライデー』は別格だ。俳優たちによる会話と所作の凄まじいスピード。ケーリー・グラントが、非道な手口を使っては事態を混乱させていく荒唐無稽さ。そんな彼の手口をすぐに見抜いては、怒り狂いながらも冷静に報復するロザリンド・ラッセルのたくましさ。死刑執行を明日に控えた死刑囚の脱走劇とスクープを競って争う新聞記者たちの小競り合いに、再婚と辞職をめぐる男女の駆け引きが組み合わされ、怒涛の展開がくりひろげられる。その凄まじさは今見ても全く色褪せていない。


 ウェス・アンダーソン、グレタ・ガーウィグなど、本作からの影響を公言する監督たちは数多い。『ヒズ・ガール・フライデー』はスクリューボール・コメディの金字塔であり、映画史に革命を起こした映画でもあるのだ。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ヒズ・ガール・フライデー
  4. 『ヒズ・ガール・フライデー』映画『バービー』にも影響を与えたスクリューボール・コメディの金字塔 ※注!ネタバレ含みます