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圧倒的な“状況”を描き尽くした長回しの裏側 『トゥモロー・ワールド』

圧倒的な“状況”を描き尽くした長回しの裏側 『トゥモロー・ワールド』

※本記事は、物語の結末に触れていますので、未見の方は映画鑑賞後にお楽しみいただくことをお勧めします。


Index


説明を排除し、徹底した状況描写で物語を紡ぐ



 2006年に公開されたこの映画は、観る者の度肝を抜くほどの生々しさと凄みに満ちていた。通常、未来を舞台にしたSF映画となれば、冒頭にその世界観を字幕などで手っ取り早く伝えようとしたり、「これぞ、未来!」という大勝負のビジュアルを映し出して観客の興味関心を効率良く掌握しようとするケースも多い。


 だが、その一方で2027年の英国を舞台にした『トゥモロー・ワールド』には、その説明的な部分や「これぞ!」と見得を切るような場面が一切ない。いや、「ない」というよりは、作り手が意識してそれらを排除しているかのようだ。


 では代わりに何があるのか。それは一言で、圧倒的な「状況」に尽きる。この世界で人類や地球は一体どのような事態に巻き込まれているのか。それは全くわからないし、見当もつかない。おそらくそこに暮らす住民たちも何ら真相を理解していないのだろう。かといって、登場人物たちが何かを探ろうとネット検索する場面は見当たらないし、携帯電話で互いにやり取りすることもない。唯一、TVのニュースだけが情報を得る手段として現存しているが、これもどれほど信用に足るものなのかわからない。



A UNIVERSAL PICTURE(c)2006 UNIVERSAL STUDIOS


 要はこの映画が描く未来とは、前後はおろか、右も左もわからない混沌なのだ。そんな中、頼りになるのは、生まれながらに併せ持つ生存本能だけ。我々は主人公と感覚を一体化させながら、目で見て、手で触れたものだけを手掛かりにこの「状況」を把握し、109分を必死に生き抜かなければならない。



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