
© 2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY
『入国審査』旅行者にとって他人事ではない悪夢を夏休み前にシェア
ベネズエラ人のディエゴ(アルベルト・アンマン)とスペイン人のエレナ(ブルーナ・クッシ)が移住のためにスペインのバルセロナからニューヨークの空港に降り立つ。2人は事実婚の関係にあり、今回、移住を決意したのはエレナがグリーンカードの抽選で移民ビザに当選したからだ。
心躍らせながら憧れの新天地に足を踏み入れた2人だったが、入国審査で状況は一変する。パスポートを確認した審査官の指示により、なぜか2人は別室に連れて行かれ、厳しい尋問を受けることになる。まさかそれが、ディエゴとエレナの信頼関係にまで影響を及ぼすことになろうとは。
『入国審査』© 2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY
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低予算、早撮り映画が世界を席巻
撮影期間わずか17日間。製作費65万ドルの低予算映画が、インデペンデント・スピリット映画祭やサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で脚光を浴び、批評集積サイト、ロッテントマトでは批評家たちから100%フレッシュという高評価を獲得する。最大の話題は、本作『入国審査』(23)がベネズエラ出身の監督、アレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケスの監督デビュー作であり、物語はベネズエラ人である彼らが実際にアメリカの税関を通過した時に体験した事実に基づいている点にある。
だからだろうか、状況描写はシンプルだがリアリティに満ちていて、旅好き、特にアメリカに入国したことがある人、または、これから入国を予定している人にとって、全く他人事ではない。そこを、ディエゴとエレナを待ち受ける取り調べの流れに従い、解説していこうと思う。