
© 2025 20th Century Studios / © and ™ 2025 MARVEL.
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』マーベル屈指の家族劇、とことん「芝居」で魅せるMCUの新時代
2025.07.28
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は大きな岐路に立っている。
『アイアンマン』(08)から始まった「インフィニティ・サーガ」が完結した『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)から6年(もう6年経つのである!)、その後の新章として展開してきた「マルチバース・サーガ」は必ずしもポジティブなだけの期間とはいえなかった。
ディズニープラスが登場したことによる映画・ドラマシリーズの大量生産とクオリティの不安定化、一貫したストーリーテリングが見えづらい展開、ヒーローたちの宿敵となるはずだった征服者カーン役ジョナサン・メジャースの逮捕と解雇。『デッドプール&ウルヴァリン』(24)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(23)といった大ヒット作はあったが、興行収入も以前に比べると低調だった。
いま、マーベル・スタジオはユニバースの立て直しに本気で取り組んでいる。映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(25)は、MCUの新時代を告げる“レジェンド・ファミリー”の初登場作。過去作とはつながらず、予習なしで楽しめる、ちっぽけで、だからこそ魅力的な家族の物語だ。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』© 2025 20th Century Studios / © and ™ 2025 MARVEL.
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』あらすじ
宇宙ミッション中の事故で特殊能力を得た4人のヒーロー・チームは、その力と正義感で人々を救い、“ファンタスティック4”と呼ばれている。世界中で愛され、強い絆で結ばれた彼ら“家族”には、間もなく“新たな命” も加わろうとしていた。しかし、チームリーダーで天才科学者リードのある行動がきっかけで、惑星を食い尽くす規格外の敵”宇宙神ギャラクタス”の脅威が地球に迫る!滅亡へのカウントダウンが進む中、一人の人間としての葛藤を抱えながらも、彼らはヒーローとして立ち向かう。いま、全人類の運命は、この4人に託された──。
Index
レジェンド「ファンタスティック4」のMCU初登場
そもそも「ファンタスティック・フォー」とは、1961年にコミックの世界に初登場した、マーベル・コミック史上はじめてのスーパーヒーロー・チームだった。すでにMCUで映画化されているアベンジャーズやガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、エターナルズといった面々に先がけて活躍していた彼らは、スタン・リー&ジャック・カービーが発明した“家族”である。
リーダーは、身体をゴムのように伸縮させる天才科学者ミスター・ファンタスティック/リード・リチャーズ。妻のインビジブル・ウーマン/スー・ストームは肉体や物体を透明化させ、強力なエネルギーを操る。スーの弟ヒューマン・トーチ/ジョニー・ストームは高速飛行と火炎を、リードの親友ザ・シング/ベン・グリムは怪力と心優しい性格を武器に戦う。
マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長にとって、ファンタスティック・フォーのMCU入りは念願のひとつだった。旧映画シリーズを手がけた20世紀フォックスが映像化権を保有していたため、長らくMCUに登場できなかったのだ。しかし2019年にディズニーがフォックスを事業買収したことで、とうとうMCUへの参戦が可能になった。
「マルチバース・サーガ」のど真ん中に突如あらわれたマーベル・コミックのレジェンド・ファミリー。マーベル・スタジオがいま描き出したのは、彼らが織りなす“家族の時間”そのものだった。