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『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』アメリカの「正義」と「力」に迫るポリティカルアクション ※注!ネタバレ含みます

(C) 2025 MARVEL.

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』アメリカの「正義」と「力」に迫るポリティカルアクション ※注!ネタバレ含みます

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※本記事は物語の詳細に触れているため、映画未見の方はご注意ください。


『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』あらすじ

“正義の象徴”を受け継いだ〈新たなキャプテン・アメリカ〉の物語。アメリカ大統領ロスが開く国際会議でテロ事件が発生。それをきっかけに生まれた各国の対立が、世界大戦の危機にまで発展してしまう。この混乱を食い止めようとする新キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンに、〈赤いハルク〉と化した大統領ロスが襲いかかる…!だが、全ては“ある人物”によって仕組まれた陰謀だった——。


Index


キャプテン・アメリカと政治性



 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)以来しばらく困難な時期にあったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が、とうとう新たな基盤を発見した。映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(25)は、MCUを牽引した人気シリーズ『キャプテン・アメリカ』の4作目にして、主人公を交代した事実上のリブート作。ここに至るまでには、およそ10年にわたる物語がある。


 第二次世界大戦下、米軍の極秘実験「スーパーソルジャー計画」によって誕生したキャプテン・アメリカ。ひ弱な兵士にすぎなかったスティーブ・ロジャースが、正義を貫く人間性を評価されて超人血清を投与され、身体能力と精神性を極限まで引き上げられたスーパーヒーローだ。


 第2作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)で、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースは約70年間の冷凍睡眠から目覚め、現代のアメリカにあらわれた。スティーブは“新しい世界”で自らの信じる正義のもと立ち上がり、アベンジャーズの一員として脅威と対峙。『アベンジャーズ/エンドゲーム』でサノスとの激闘を終えたあと、自分の人生を生きることを決意し、キャプテン・アメリカを引退した。



『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(C) 2025 MARVEL.


 キャプテン・アメリカの象徴である盾をスティーブから託されたのが、『ウィンター・ソルジャー』で初登場したファルコン/サム・ウィルソンだった。もともとは帰還兵で、戦場にてトラウマを抱えた元兵士たちをケアしながら働いており、アベンジャーズではスティーブの右腕として活躍。しかし、盾を受け取ったサムは葛藤する。黒人である自分に、キャプテン・アメリカを引き継ぐ資格があるのか。世界の人々に受け入れられるのか。


 ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(21)で、サムはアメリカ政府の嘘や欺瞞を知りながらも、最後にはキャプテン・アメリカを名乗ることを自分の意志で決断する。相棒は、サムがファルコンのスーツを譲ったホアキン・トレス。朝鮮戦争下で超人血清を投与されるも30年間投獄され、存在をなかったことにされていた老人イザイア・ブラッドリーとの間にも絆が生まれた。


 そもそもキャプテン・アメリカというスーパーヒーローは、1941年にコミックの表紙でアドルフ・ヒトラーを殴りつけて以来、政治的なテーマから切り離せないキャラクターだ。『ウィンター・ソルジャー』では対テロ戦争と監視社会を(詳細はこちらの記事にて)、第3作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)では武力の制御と正義の対立を描いた。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』も黒人としてアメリカの地で生きることや、愛国心とテロリズムの問題がテーマだったのだ。


 もちろん『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』も例外ではない。これはサムが初登場した『ウィンター・ソルジャー』の精神に回帰したド直球のポリティカル・スリラーであり、現在の世界情勢をもにらんだ“戦争映画”である。




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