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『KILL 超覚醒』「インド映画史上最も暴力的な映画」が目指したもの

© 2024 BY DHARMA PRODUCTIONS PVT. LTD. & SIKHYA ENTERTAINMENT PVT. LTD.

『KILL 超覚醒』「インド映画史上最も暴力的な映画」が目指したもの

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世界が熱狂した怒涛のアクション



 『KILL 超覚醒』は、2023年9月にトロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス部門で世界初上映され、目の肥えたジャンル映画ファン、アクション映画ファンの熱狂的反応を呼び起こした。その後のシッチェス国際ファンタスティック映画祭でも同様のセンセーションとなり、インド国内でも数々の賞を受賞することとなる。


 国際映画祭での反応よりも、むしろ驚くべきはインド国内での反応だろう。というのもこれは、インド映画史上最も暴力的な映画と言われているからだ。暴力的というのは具体的には、暴力描写が直接的で激しいということである。インド映画におけるアクションと言えば、たいていはもっと様式化されていて、本作のような生々しいものは確かにあまり記憶にない。


 とはいえそれはあくまでインド国内の話。日本を含む東アジア諸国、東南アジア諸国のアクション映画や、もちろん欧米のそれを観慣れている観客にとっては、画面に映し出される血の量は確かに多いものの、暴力描写の世界的な許容範囲をそれほど大きく超えているとは思えないかもしれない。けれどもアクションのクオリティは、確かに現在の世界映画の最高水準にある。しかもこの映画、そのアクションが怒涛の勢いで連続するのだ。



『KILL 超覚醒』© 2024  BY DHARMA PRODUCTIONS PVT. LTD.  & SIKHYA ENTERTAINMENT PVT. LTD.


 ニキル・ナゲシュ・バート監督は、学生時代の自身の体験から本作の着想を得た。乗っていた寝台列車が、就寝中にダコイト(列車強盗団)に襲われたのに、別の車両にいた自分はまったく気づかなかった、そのことにずっとある種の罪悪感を抱えていたと、彼は複数のインタビューで語っている。


 物語は、軍の対テロ特殊部隊に所属するアムリト(ラクシャ)が、親に別の相手との結婚を強要された恋人トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を追って、ニューデリー行きの特急寝台列車に乗ったところから始動する。列車へ乗りこんできたダコイトの一味40名が、乗客に暴力をふるい、金品を強奪しはじめる。トゥリカは大物実業家の娘。ダコイトのリーダー格であるファニ(ラガヴ・ジュヤル)はこの家族の身元に気づき、身代金目的の誘拐をもくろむが、そこへアムリトと、同僚で親友のヴィレシュ(アビシェーク・チャウハン)が駆けつける。ふたりの活躍でトゥリカと家族はいったん窮地を逃れるが、これは、血で血を洗う壮絶な闘いの幕開けに過ぎなかった――!




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